生殖細胞を雌にする遺伝子特定 卵子の作製が可能に?
京都大の研究チームが、マウスの生殖細胞が雌化するのに必要な遺伝子を特定した。人工的にES細胞やiPS細胞から卵子をつくり出す技術の開発につながる成果だ。研究成果は14日、米科学誌「サイエンス」電子版(https://doi.org/10.1126/science.aaw4115)に掲載された。
チームの斎藤通紀・京大教授らはこれまで、ES細胞やiPS細胞を生殖細胞に変化させ、卵子をつくることには成功している。だが、これまで卵子をつくる場合は、生殖細胞を卵巣の細胞と一緒に培養する必要があった。生殖細胞の雌雄を決定するメカニズムはわかっていなかった。
長岡創・京大特定研究員らは、マウスのES細胞からつくった生殖細胞に、卵巣内に多く含まれるたんぱく質の一種とビタミンAでできた試薬を加えて培養。すると、卵子になる前段階の「卵母細胞」に変化することを発見。試薬を加えた後にはたらきが強まる遺伝子を調べ、「ZGLP1」という遺伝子を特定した。
遺伝子操作でZGLP1をもたないマウスをつくったところ、卵母細胞がつくれずに卵巣が萎縮し、不妊になることも確かめた。斎藤教授は「この遺伝子はヒトにもある。ヒトでも同じメカニズムがあるか調べたい」と話している。(野中良祐)
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