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 将来、がんになりやすいかどうか。遺伝情報があつまった「ゲノム」を解析することで、わかる時代がやってきた。

 特定の遺伝子に変異があり、ない人の何倍もがんになりやすい。がんになっていない乳房や卵巣をとる手術を受けると、がんになるリスクや死亡率が下がるーー。科学的根拠が示されたときの反応は様々だ。

 がんにはなりたくない。一方で、健康な体にメスを入れて乳房や卵巣をとることをためらう。技術の進化は、かつて知り得なかった情報を私たちに突きつけ、難しい判断を迫る。

 手術をしてもしなくても、遺伝性の場合、「がんになりやすい」という体質は変わらず、がんとの関わりは生涯続く。子や孫に遺伝している可能性もあり、「ゲノム解析はパンドラの箱を開けた」とも言われる。

 2020年4月からは、将来のがんリスクを下げる、乳房や卵管・卵巣の「予防切除」の一部に公的医療保険が使えるようになり、予防切除を選ぶ人は増えると見込まれる。また、どの薬が有効なのか、最適な治療を選ぶための検査によって遺伝子の変異を知る人も増えていて、今後、さらに増えそうだ。

 自分のがんが遺伝性と知ったとき、「がんになるリスクを減らせるならとる」と予防切除を選ぶ人もいれば、「妊娠する可能性を残したい。今はまだ」と選ばない人もいる。年齢や家庭環境によっても異なる。自身の思いや体験を語る人も出始めている。