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 東京電力福島第一原発事故を巡り、福島県内の自主的避難等対象区域に住む52人が東電に総額約9900万円の精神的損害賠償を求めた集団訴訟の判決が19日、福島地裁であった。遠藤東路裁判長は東電に対し、50人に計約1200万円を支払うよう命じた。

 訴訟では福島地裁が昨年12月18日、原告の個別の被害状況に応じ、賠償額を算定した和解案を提示。全国で約30件起こされている福島第一原発事故を巡る集団訴訟では初の和解勧告で、原告は「裁判の長期化で精神的に疲弊した」などと受諾する方針だったが、東電が拒否して、和解は決裂した。

 訴状によると、原告は福島市や二本松市など原発から30キロ以上離れた自主的避難等対象区域の住民。事故後、東電は精神的慰謝料や生活費の増加分などとして、住民1人あたり12万円を支払った。しかし、原告らの多くは子や孫を持つ女性で、見えない放射線被曝(ひばく)への恐怖を感じながらの生活を強いられるなど環境が一変したとして、1人あたり110万~900万円の慰謝料の増額を東電に求め、2016年4月に提訴した。

 原告代理人の野村吉太郎弁護士は「和解案は厳密な立証が求められる裁判で示されたもの。当初の提訴額よりもかなり低い金額だったが、それでも東電は拒否した。はなから和解はする気がないという東電の強気の姿勢の表れだ」と話していた。(小手川太朗、飯島啓史)