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 腎臓は血液を濾過(ろか)して老廃物を除去したり、体液調節を行ったりしています。しかし、腎臓の働きが失われて末期腎不全の状態になると腎代替療法が必要となります。腎代替療法は透析療法と腎移植の二つで、透析療法には血液透析(HD)と腹膜透析(PD)があります。透析を行う患者は年々増加し、2017年末で国内に約33万人います。そのうち95%以上が血液透析を受けています。

 血液透析では患者の血液を体外に取り出してダイアライザーと呼ばれる装置の中を通します。これにより患者の血液から老廃物や余分な水分を除去したり電解質の調整を行ったりしています。ダイアライザーできれいになった血液は再び患者の体内に戻すことになります。

 最近は血液透析に濾過を加えた血液濾過透析(HDF)を受ける人も増えています。HDFは補液によって血液透析よりも濾過量を増やすことができるので、老廃物を十分に除去することが可能となっています。12年の診療報酬改定で公的医療保険の対象に加えられたため、近年HDFを受ける患者が急激に増加しています。

 血液透析では血液を取り出したり返したりするためのルートが必要で、それをバスキュラーアクセス(脱血、返血の出入り口)と言います。最も一般的なバスキュラーアクセスは自己血管内シャントです。患者の動脈と静脈をつなぐもので、通常は利き腕の反対側の前腕に作成します。

 外来での通常の血液透析は週3回で、1回の所要時間は4時間です。腎臓は24時間休みなく働いているのに対し、血液透析は限られた時間だけ行われることになります。そのため透析していない間は体液貯留や電解質異常のリスクがあるため、日常生活での食事療法や自己管理が非常に重要です。

 また、長期間血液透析を受けている患者では、貧血、脳血管障害、心不全、感染症といった合併症の発生や、カルシウム・リン代謝異常によって骨が弱くなったり、シャント作成が困難になったりする可能性があり、命や生活の質に影響を及ぼします。そのため血液透析では患者と医師、看護師だけではなく、透析の機械を管理する臨床工学技士、栄養士、薬剤師そして患者家族とともにチーム一丸で治療することが必要になると考えます。

 腹膜透析とは腹膜を利用して行う透析のことです。腹膜は人の体の内臓表面や腹壁の内側を覆っている膜のことです。人のおなかの中は腹膜で覆われていますが、その空間を腹腔(ふくくう)といいます。腹腔内に透析液を入れておくと、腹膜を介して血液中の老廃物や余分な水分が透析液側に移動します。この老廃物や水分が移動した透析液を交換することで血液が浄化されます。腹膜透析を行うには、透析液を出し入れするためのカテーテルをおなかに留置する手術が必要です。

 腹膜透析において透析液を交換することをバッグ交換といいます。バッグ交換では、おなかに留置するカテーテルを通して新しい透析液とおなかに入っている古い透析液を交換します。

 腹膜透析の方法には連続携行式腹膜透析(CAPD)と自動腹膜透析(APD)の2種類があります。CAPDでは通常一日3~5回のバッグ交換を手動で行い、24時間持続的に透析をします。APDでは自動腹膜透析装置(サイクラー)を用いてバッグ交換を行います。APDは主に就寝時に行われ、日中の自由時間が確保されることから児童、学生、社会人に多く利用されています。

 腹膜透析は血液透析と違って月1回程度の通院で管理できるため、自由な時間が多いという特徴があります。しかし、腹膜炎などの問題から長い年数継続できないため近年腹膜透析患者数は伸び悩んでいます。(弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座准教授 橋本安弘)