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 国からの地方交付税の財源不足を補うために福岡県が発行している臨時財政対策債(臨財債)について、国から返済用として県に支払われてきた資金の目的外での支出が、2020年度に累計で781億円に膨らむことがわかった。

臨時財政対策債とは
 国が地方に配分する地方交付税の財源不足を補うため、自治体が一時的に借り入れる地方債。2001年に導入され、返済資金は国が全額を負担する。赤字地方債とも呼ばれる。

 20年度当初予算で県は、55億円を返済や今後の返済用の積み立てに回さず、通常の予算として使う考え。こうした流用は、将来的に県が臨財債を返済する財源の不足につながりかねず、負担の先送りになるとして、総務省は流用をしないように求めている。

 発行する債券の償還年数の決め方によっては、返済用の資金になる毎年の交付税が、実際の返済額より多くなることが問題の背景にある。差額を将来の返済に備えて基金として積み立てる自治体がある一方、福岡県は「交付税は自主財源で、自らの判断で決定すべき」(小川洋知事)として、ほかの予算にまわしている。これまでも繰り返し県議会で差額を基金として積み立てるよう指摘を受けたが、20年度も積み立てはしない方針。

 県の試算によると、今の条件が続けば、23年度に流用額は累計911億円に達し、24年度から国の交付額が県の返済額を下回って財政を圧迫する。36年度には132億円が不足するという。県の担当者は「現状では財政状態が厳しく差額の解消はできていないが、税収増が見込める政策を進めて将来の返済分の財源を確保していきたい」としている。

 総務省によると、臨財債の返済への積み立て不足は、18年度末で全国25の道府県に及んでいる。このうち福岡は671億円で、北海道の902億円、千葉の688億円に次いで3番目の規模だ。

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 19日発表の福岡県の一般会計当初予算案は、前年度比659億円増の総額1兆8517億円となり、過去最大を更新した。高校教育の無償化などにより社会保障費が134億円増えたほか、性暴力の加害者を対象に相談窓口や治療費助成をする性犯罪防止対策が新たに盛り込まれた。臨財債は762億円を発行する。(宮野拓也)