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 南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離)を廃止し、ノーベル平和賞を受けた元大統領のフレデリク・デクラーク氏(83)が今月初旬、地元メディアに「アパルトヘイトは人道に対する罪ではなかった」と語った。直後から国内で強い批判が殺到し、17日、発言を撤回して謝罪した。

 デクラーク氏はメディアでの発言後も、自身の財団を通じて「アパルトヘイトが人道に対する罪だという考えは、白人の南アフリカ人に汚名を着せるために仕組まれたものだ」と主張した。これに対し、国内世論は猛反発。「アパルトヘイトの擁護者」などの批判がわき起こっていた。

 デクラーク氏はもともと、アパルトヘイトを推進する与党議員だったが、大統領就任後の1990年に制度廃止を求めて獄中生活を強いられたネルソン・マンデラ氏を釈放した。91年には制度の関連法を廃止。93年にマンデラ氏とノーベル平和賞に選ばれた。

 南アではデクラーク政権当時、アパルトヘイトの廃止を求める暴動が各地で続発。国際社会による制裁も受けていた。デクラーク氏による廃止の決断には、治安や経済を立て直す実利的な目的もあったとされ、94年にマンデラ氏が後任の大統領に就くと、新憲法制定などをめぐってたびたび衝突していた。(石原孝