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 小泉進次郎環境大臣が、「育児休暇」を取得し、「ぜんぜん休みじゃないですね」と感想を言ったことがニュースになりました。お子さんの誕生にも立ち会えたようでよかったですね。

 閣僚が育休を取ることへの賛否が話題になり、私の身近では「実際の子育てで戦力になるのか」といった声もありました。とはいえ、誕生も含め、思いがけない大変さがある育児の場にいるというだけでも大事なことです。

 あまり育児に関わってこなかった、関わっていない男性の中に謎の自信を持つ人がいて、「育児なんて簡単」「こうやればいいのに母親たちは手をかけすぎる」という的はずれな発言をし、母たちの神経を逆なですることがあります。

 現実にはあまり手を出せなかったとしても、妻が初めての育児で悪戦苦闘しているのを見て一緒に過ごしたら、小泉氏は将来、そんなことを言わないだろうと思います。

 妊娠出産は、人生の大きなイベントで女性の体も様変わりします。思いがけない不調や痛み、困難がある中、子育てをしなくてはいけないときに、人生のパートナーが一緒にいたらとても心強いですね。初めての時だけでなく、2人目以降の時も同様です。親は1人よりも2人いたほうがなにかといいはずです。

 日本の現役閣僚が育休を取得するのは初めてのことでしたが、イギリスでは20年前にブレア首相(当時)が育休を取得しています。最近、史上最年少の女性が首相になったフィンランドでは、1998年に男性首相が初めて育休を取得しています。当時はフィンランドでもインパクトが大きいことで、これが弾みとなり一般の人の育休取得が増えたそうです。リーダーが育休を取ることで、世間の意識も変わりますね。https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e1ec3efc5b673621f6daa5d別ウインドウで開きます

 海外ではもはや閣僚が育休を取るくらいでは話題にならないのに、日本は小泉氏に対して賛否両論が巻き起こったことが海外のメディアでニュースになりました。

育児は自己責任? 子育てしにくい世の中

 男性の育休一つとってもこのような状況ですから、日本で子どもを育てていくというのは大変な時代になっています。

 このコラム「大丈夫!子育て」は、そういった大変な環境の中で子育てをする人たちを応援するような気持ちで始めたものです。このたびこの連載が1冊の本になりました。「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版)というタイトルで、3月13日に発売します。

拡大する写真・図版イラスト・森戸やすみ

 小児科のかかり方や病気の手当てといった医療的な情報はもちろん、よくある子育て関連のデマとどう付き合うか、子どもの発達など日々の生活で心配になりがちなことへの対処法も盛り込みました。なかでも伝えたいのは、「子育てをもっとラクに」というメッセージです。3歳児神話や、「スマホ育児」批判をどう考えるか、といったことにも触れています。

 私自身、第1子を産んだときには、途方に暮れました。小児科医として働いていましたが、仕事で得た知識や技術はほとんど役に立たなかったからです。外来診療をしていると世間の子育てに対する目は、年々冷たさが増しているような気さえします。

 「育児は自己責任」「子どもを育てる上での大変さは覚悟してから産め」などとひどい言葉を言われることもあります。そのため、公共の場で子どもが泣いたり騒いだりしたら、身が縮む思いをしている人が多いでしょう。誰からも責められていないのに、自分でちゃんとした育児ができていないと悩んでいる人もいます。

 また、本書で数回、触れていますが、母親と父親の二人にとって子どもに対する責任は等価ではないでしょうか。どちらか一方に大きな役割と重荷が負わされるのは、おかしいと私は思います。

 また、育児書は世の中に既にたくさんありますが、近年はどういう子にする育児、成功する人になる育児といったような、即物的なタイトルが多い気がします。子どもに入社してほしい企業や就いてほしい職業がテーマとなることもありますが、社会は変わっていくし、親が思う勝ち組が、子どもにとって幸せかどうかはまた別の話ですね。どういう子に育てたいという欲求は理解できますが、期待したように成長する保証はありません。子どもとはいえ、人の一生を親が指図するのはいいことではないと思います。

 不安や孤独、自責の念に陥りがちな人たちに向けた本です。どんな点に気をつけたらいいか、逆にどんな点は気にしなくてもいいかを優しく語るよう心がけました。ぜひ、手にとって見てください。(アピタル・森戸やすみ)

「小児科医ママが今伝えたいこと!子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版)
森戸やすみさんのコラムをまとめた新刊はこちらから。
「小児科医ママの大丈夫!子育て」
森戸やすみさんの過去のコラムはこちら。

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。