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 昨年10月に88歳で亡くなった俳優・八千草薫さんの若き日の姿を描いた肖像画が、神戸市立小磯記念美術館に遺贈された。神戸出身の洋画家・小磯良平(1903~88)による作品。「婦人像」というタイトルで、4月10日~7月12日の受贈記念展で公開される。

 縦45・7センチ、横37・9センチの油彩画。1956年、宝塚歌劇団所属で25歳の八千草さんに小磯が依頼し、東京都世田谷区の八千草さんの自宅で制作した。その前年、八千草さんをモデルに、小磯が週刊朝日の表紙絵を描いたことがきっかけで、交流が生まれたとみられる。

 作品は八千草さんが自宅の居間に飾っており、自分の死後は小磯記念美術館に寄贈したいと申し出ていた。白いブラウスに赤いカメオのブローチという普段着姿。多忙な八千草さんのスケジュールの合間に描かれたとみられ、ラフな筆致で時間をかけずに仕上げられているという。

 美術館の多田羅珠希(たたらたまき)学芸員は「斜め下を向いて憂いを帯びた表情で、モデルの内面を感じさせる作品。パブリックイメージとは異なる八千草さんの本質を、小磯は捉えたかったのではないか」と話す。(田中ゑれ奈)