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 選抜高校野球大会の出場校が出そろい、プロ野球では各球団のキャンプが終盤。野球の季節がやってきた。一方で、子どもを中心に野球人口の減少が叫ばれて久しい。そんななかで注目されるのが、投手を配置しない簡易型野球と言えるティーボール。都内でも普及活動が広がっている。

 1月18日、新宿区の早稲田大学で「日本ティーボールセミナー」という催しが開かれた。主催は日本ティーボール協会(会長・海部俊樹元首相)。協会に加盟する全国の団体が活動事例を紹介し、小学校の体育での授業例も報告された。

 野球やソフトボールは、投手が投げて打者が打ち返す。だが、ティーボールには投手はいない。打者がティーの上に置いた軟らかいボールを打つ、簡易なベースボール型球技だ。狭いスペースでもでき、硬いボールやバットを使わないために安全性も高い。野球に親しんでもらう「入り口に」として期待される。

 全国の高校硬式野球部員は減少傾向だ。2008年度の16万9298人から、19年度は14万3867人に。中学の軟式野球経験者も他競技に比べて減少が著しい。スポーツの多様化に加え、硬めの球やバットを使う野球は危険を伴うと敬遠されるなどして、少年期に親しむ機会が減っていることが背景にある。

 同セミナーで注目された報告に、東京ティーボール連盟の活動があった。同連盟は昨年6月、都高校野球連盟、都軟式野球連盟と3者連携で合意。ティーボール普及など野球振興に努めることでスクラムを組んだ。

 都高野連は昨年度、日本高野連の方針のもとにシーズンオフの11月~1月ごろに加盟各校でティーボール教室を開催。今年度は3者連携もあり、開催規模をさらに拡大した。

 昨年12月22日、都立新宿高校の体育館で、未就学児らを集めたティーボール教室が開かれた。先生はユニホーム姿の同校硬式野球部員たち。「今日は全員にホームランを打ってもらうからね」「よしっ、やってやる」。楽しい会話をしながら打撃や送球を“お兄さん”が丁寧に教えた。

 同校野球部の山口歩主将(17)は「子どもたちはみんな笑顔でした。大勢でプレーする楽しさを伝えられたかもしれません。この中から野球をやる子が出てきたらうれしい」と話した。

 日本ティーボール協会は1993年に発足。早大名誉教授で、長く同大でソフトボール部を指導する吉村正さん(74)が副会長で、2001年に立ち上げた同名のNPO法人では理事長を務める。「健康教育」を専門とする吉村さんが早大の教員に就いた75年からティーボール研究を始めた。

 それから45年。吉村さんは決意を新たにする。「多くの人が野球やソフトボールに対し、『試合を見る』『記事を読む』という形で接し、楽しんできた。それに『する』の要素を加えられるのがティーボール。子どもたちが親しめるスポーツを広めたい」(木村浩之)

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