「内股は足をはねあげるのを目的にしない。引き手を引くんだ」
横浜市立鴨居中の柔道部を指導するのは羽田(はだ)文夫さん(67)。教員ではなく、部員たちからは「はだ爺(じい)」と親しまれる。2017年度から国が制度化している「部活動指導員」として、18年に同中に任用された。
柔道6段。神奈川県警で15年間、柔道を指導した。定年退職後、市に雇用され、武道の授業指導で学校を巡回した経験から、学校への理解が深く、白羽の矢が立った。「教育の一環の部活動なので、強さだけでなく、安全を最重点に置き、礼儀作法や相手への思いやりを大事にしている」
部活動指導員は、学校外の人材が部の顧問が不在でも、単独で練習の指導や大会への引率などができる。「対外試合への引率時は責任が自分にある。相手校の先生ともコミュニケーションをとり、とにかくけががないようにしている」
名古屋市立はとり中ソフトテニス部を教えるのは、大学4年の小野内里帆さん。同市が04年度から国に先駆けて設けた「外部顧問」だが、役割は、後から国がつくった部活動指導員と同じだ。
同中の卒業生で、高校や大学では全国大会に出場した。体育教師をめざしながら、男女合わせて80人の部員を月8回、指導する。「練習を重ねて、生徒が成長する姿を見られる喜びがある」
部の顧問、朝日啓輔教諭(36)はテニス経験がなかった。「他の仕事もあり、付きっきりは難しい。経験者に専門的な指導をしてもらえるのは大きい」
これまで全国で広く任用され…