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 京都市立の劇場、ロームシアター京都(同市左京区)の館長人事が波紋を呼んでいる。4月の新館長就任が発表された演出家の三浦基(もとい)さん(46)が代表の劇団「地点」で、パワハラなどがあったとする元劇団員と団体交渉中のためだ。取材に対し、三浦さんは「パワハラは一切なかった」とするが、和解などに至らない段階での決定に疑問を感じ、同劇場の事業への参加を留保する演劇人もいる。

拡大する写真・図版ロームシアター京都=2020年2月24日、京都市左京区

 2月19日、劇場で開かれた新年度の自主事業の発表会見。劇場側は、「館長人事への懸念が解決されない」場合、劇作家・演出家の松田正隆さんが公演の延期・辞退、演劇作家の岡田利規さんが担当講座の講師を辞退する可能性があることを明らかにした。木ノ下裕一さん主宰の「木ノ下歌舞伎」も、公演予定の発表を見送った。

 ロームシアター京都の館長は、運営する市音楽芸術文化振興財団の会長である京都市長が推薦し、理事長が任命する。市と財団は1月、現館長の後任に「若さと創造力に無限の可能性を感じる」(門川大作市長)として、三浦さんの就任を発表。運営統括に加え、作品を演出・プロデュースする役割も担うと説明した。

 一方、三浦さんは、雇用関係にあった元劇団員から言葉や態度で人格を傷つけられ一方的に解雇されたとの訴えを受け、昨年9月、映画・映像・演劇産業で働く人でつくる労働組合「映演労連フリーユニオン」を通じて、団体交渉を始めていた。市は、就任を打診した昨秋に初めて三浦さんからこの問題を聞いたという。北村信幸・市文化芸術政策監は「『そういうことではないし、責任を持って対応する』と言うご本人を信じ、実績や専門性の点でお願いした」と話す。

 だが、館長就任の発表後、複数の演劇関係者がツイッターなどで決定への疑念を表明。2月14日には京都を拠点とする演劇人や劇作家・演出家の平田オリザさんら16人が連名で、同月末までに選定経緯を明らかにするよう求める公開質問状を市と現館長あてに提出した。提出者の一人、劇作家・演出家の土田英生(ひでお)さんは「問題がクリアになっていない状態で館長就任を要請するのは乱暴過ぎる」。市や劇場が、パワハラなどを「容認している」と取られかねない、と危惧する。

 市は質問状への対応を検討中。北村・市文化芸術政策監は「演劇関係の皆さんにご心配、ご迷惑をおかけし、申し訳ない。その解消が最大の課題」としている。(増田愛子)