「町を元気に」 燃える若旦那 群馬・八ツ場ダムが完成

【動画】温泉街の再興をめざす旅館の若旦那=遠藤啓生、長島一浩撮影
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 計画から68年を経て、群馬県長野原町の八ツ場(やんば)ダムが3月31日に完成し、1日本格運用を開始した。完成に伴い、高台に移転した川原湯温泉で、江戸時代から360年ほど続く老舗旅館「山木館」からは水をたたえたダム湖が望める。

 15代目の樋田勇人さん(25)は前橋市育ち。高校3年の夏に山木館でアルバイトをした際、跡取りにと声を掛けられた。大学在学中に、親戚で14代目の洋二さん(73)と文子さん(71)夫婦の養子となった。

 川原湯に来てから、70年近くダム計画にほんろうされた先人たちの苦労を知った。10年前に亡くなった13代目の富治郎さんはダム反対期成同盟の委員長から町長に。国や県と板挟みになり、条件付き賛成へと転じた。洋二さんはダムを前提とした地域の再生について数十年悩み続けた。

 水没した旧温泉街から移った高台の造成地で再開した旅館は5軒。最盛期の4分の1程度だ。住民の流出と高齢化も進んだ。「行政の計画は年をとらないけど、住民は年をとってだんだん気力もなくなる」と勇人さんは実感している。

 そんな川原湯で1月20日の早朝、400年続くとされる伝統の奇祭「湯かけ祭り」があった。地元で貴重な若手の勇人さんも下帯姿で参加した。「地域を元気にできるのか不安はある。ただ、話題性のあるダムを観光資源に活用し、町を元気にしたい。訪れた人たちの人の輪が次々と生まれるような旅館にしたい」。ダムツアーの企画やガイドにも精力的な若旦那。まなざしは真剣だ。