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 1990年10月3日の東西ドイツの再統一から今年で30年。前年89年11月9日の「ベルリンの壁」崩壊前の旧東独では、秘密警察シュタージが国民生活を監視し、芸術家もその対象となった。旧東独出身の芸術家たちはいま何をしているのか。ベルリンなどに画家、ドキュメンタリー監督、舞台芸術家の3人を訪ねた。

「東はもうなくなるのに……」

 1月下旬、ベルリン近郊ポツダム市内の小さな美術館を訪ねた。少年が兵士に銃口を向けられる「僕じゃなかった」、少年が壁を金づちでたたく「キツツキ」など約40点の油絵が並ぶ。

 画家のノルベルト・ビスキーさん(49)は東部ライプチヒ生まれ、東ベルリンで育った。壁崩壊は独北部で兵役中、教官から知らされた。1カ月も過ぎると、友人が一人、また一人いなくなる。ビスキーさんも5カ月後、軍からの離脱を申請したが認められず、脱走すると、軍警察に捕まった。2日間拘束され「東はもうなくなるのに、教官は『西へ行けば、二度と東には戻れない』と説得した。社会の矛盾、人間とはどういうものかを学んだ」。

 90年から3年間、フンボルト大で美術史を学んだ後「混乱の時代に何かを残したい」と画家になることを決めた。ベルリン芸術大学(UdK)で、旧東独出身の巨匠ゲオルク・バゼリッツ氏に弟子入りすると、バゼリッツ氏は旧東独の原風景を作品にするよう、指導した。「最初は断ったが、やっぱり自分がやるべきことだと思えた」

全体主義プロパガンダに共通の景色

 金髪、青い目、白人の子どもたちが共に歌い、水浴びし、学ぶ4部作を描いた。風貌(ふうぼう)はナチスが理想とした「ゲルマン民族」を想起させ、全員が同じ行動をする。「全体主義の復活を望んでいる」と批判されたが、米評論家が「社会的な文脈が描けている」と論評したことで、評価が一転した。

 「東欧、中国、ロシアなど全体主義のプロパガンダを生きた人たちに共通の景色なんだと気づいた」

 東西分断時代、美術館の横には…

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