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 マイクを握りしめ大声を張り上げ、有権者と次々に握手を交わす――。新型コロナウイルスの感染拡大で、政治家のそんな日常風景が一時的に姿を消しつつある。「濃厚接触」を避けつつどうやって支援者と交流するか、試行錯誤が続く。

「握手は票」だが…

 「我々政治家は握手をする慣行があるわけだが、もっとも濃厚な接触の一つ。政治家が(感染の)媒介にならないよう、握手は控えたらどうか」

 27日昼、自民党本部であった細田派の会合で、領袖(りょうしゅう)の細田博之会長はこんな案を披露した。故・田中角栄元首相は「握手した数しか票は出ない」と語り、今も政治家の間で金言とされる。肩を寄せ合い、定食に手を付けていた数十人の派閥所属議員らからは、ため息と失笑が漏れた。

拡大する写真・図版政治資金パーティーであいさつする細田博之元官房長官=2019年5月

 笑い事では済みそうにない。政府が大規模な文化・スポーツイベントの開催自粛を求める事態になる中、派閥や政治家にとって貴重な収入源である「パーティー」も中止や実施方法の変更を余儀なくされている。

拡大する写真・図版急きょ立食形式を変更し、着席してマスクを配った政治資金パーティー=2020年2月26日午後、東京都千代田区、西村圭史撮影

 自民党石破派は27日の派閥会合で、5月に都内のホテルで予定していた派閥の政治資金パーティーの延期を決めた。6千万円程度の収入を見込んでいたとし、派閥関係者は「ただでさえ弱小派閥で延期はかなり痛いが、倫理的にできない」と漏らした。

拡大する写真・図版自民党の石破茂氏

 竹下派も3月に開くはずだったパーティーの延期を決定。派閥幹部の一人は「収入面で痛い。やればいいのに」と漏らす。ただ派閥だけでなく議員個人のパーティーも、料理は大皿から個別の弁当に切り替え、マスクを配布する例も出始めた。

拡大する写真・図版自民党竹下派の茂木敏充会長代行=2020年2月7日、東京都千代田区、田辺拓也撮影

 政党の大会にも影響が出ている。3月8日に開催予定だった自民は延期。野党の立憲民主党は今月16日に握手を自粛して実施、国民民主党も今月22日に会場をホテルから党本部に変えて開いた。

有権者に訴える集会、いいの?

 政治家にとってさらに悩ましいのが、有権者の審判を受ける選挙だ。

 4月にある衆院静岡4区の補欠選挙(26日投開票)は、すでに候補予定者たちがフル活動を始めている。自民は岸田派(岸田文雄会長)幹部の死去に伴う補選のためとりわけ力を入れる。自民が擁立予定の候補は24日に事務所を開き、式典の目玉である勝利祈念の神事を参加全員にマスクを配布して乗り切った。

拡大する写真・図版衆院静岡4区補選に立候補予定の自民党元県議の後援会事務所開きでかけ声をかける岸田文雄政調会長=2020年2月24日午前、静岡市清水区、西村圭史撮影

 では、大勢の有権者に建物内に集まってもらう大規模集会を開いてもいいのか? 悩みが尽きない選対幹部はこう漏らす。「走りながら考えるしかない」

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 第201回通常国会。国会や政党など政治の現場での様子を「政治ひとコマ」としてお届けします。(西村圭史、西山明宏、石井潤一郎)