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 新型コロナウイルスの感染対策で、政府が打ち出した「休校」。学校現場は急きょ、卒業式への対応を迫られ、卒業証書だけを手渡した学校もあった。

 愛知県大口町唯一の中学である町立大口中では28日午後、保護者や来賓抜きで卒業式を開いた。

 町教育委員会によると、この日朝、岩田晃典校長や町教委幹部が参加した会議で、3月2日からの臨時休校と3日に予定していた卒業式の繰り上げ実施を決めた。卒業証書の準備もできていたといい、通知表も教員たちが27日夜に急いで仕上げていた。

 全校生徒にはこの日の4時限目に各担任から、午後の5時限目の授業を卒業式にあてることを伝えた。いきなりの卒業式決行に生徒からは驚きの声が上がったという。保護者にはメールで伝えた。

 体育館での卒業式には3年生233人と岩田校長、3年の担任らが出席。在校生は2年の代表1人だけが参加し、送辞を読んだ。岩田校長は町教委を通じ「保護者、在校生、地域の方々に祝福されながら卒業させたいという思いがあったが、命を守ることを優先した。生徒は理解してくれると思う」とコメントした。

 卒業式は開かず、卒業証書を急きょ手渡した学校も。

 岐阜県内のある中学校は、卒業式の代わりに急きょ、5時限目の授業を使って3年生約100人に卒業証書を手渡した。

 同校によると、来賓や保護者は呼ばず、教職員と1、2年生全員が見守る中、全員がマスクを着用するなど、対策を念入りに行ったという。

 同校の校長は、卒業式の中止という最悪の事態も想定し、「卒業証書だけでも」と考え、教員全員に27日夜のうちに「正装の準備だけはしておくように」とメールで伝えたとする。

 校長は「子どもたちを温かく見送るために、何が最善かを考えた。節目を大切にして、新しい学校へ歩み出してほしい」と話す。

 一方、愛知県立高校の多くで28日に予定通り卒業式が開かれたが、時間を短縮したり出席者を絞り込んだりするなどの影響が出た。

 同県北名古屋市の県立西春高校では、来賓を含む出席者は例年より700人近く少ない約900人。在校生も、ピアノ伴奏や送辞などの役割がある2年生4人しか出席しなかった。ほぼ全員がマスク姿で、会場入り口にアルコール消毒液を置き、ジェットヒーターをつけて換気を徹底した。

 式の時間も例年より30分ほど短縮。「仰げば尊し」の合唱をやめ、卒業証書授与の際は生徒一人ひとりの名前を呼ばず、代表1人への授与にとどめた。安藤昌弘校長は「国公立大の後期試験を控える卒業生もいるので、リスクを下げることを優先した」と話した。(荻野好弘、滝沢隆史、竹井周平)