今春の選抜、高校野球に今できることは 新型コロナ
春の選抜高校野球大会は戦後の1947(昭和22)年に再開以来、途絶えることなく球史をつないできた。阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の地元を阪神・淡路大震災が襲った95年も、開幕12日前に東日本大震災が発生した2011年も、被災地や国民生活に配慮しながら開催された。
第92回を迎えた今年は、大会を開催できるのだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、文部科学省が28日、全国すべての小中高校などに臨時休校を求める通知を出した。それを受けて大会に出場する32校の中にも、休校を決めた学校がある。
主催者は3月4日の運営委員会で対応を協議するとし、関係機関との調整を進めている。情勢が許せば、球児の夢を実現させてあげたいという思いは共通だろう。一方で、安全や健康を最優先に考えなければならない。難しい対応になる。
今できることは何か。無観客試合も含め、様々な可能性を探ることだろう。それと、3月8日から解禁となる練習試合を当面は控えるよう、日本高校野球連盟が加盟校に伝えることだ。
選抜出場校のなかには温暖な地域に遠征し、実戦を積む計画を立てているチームもある。この時期に飛行機などで集団移動するのはリスクが大きい。もし部員の誰かが感染したら、大会が開催されても、チームが出場するのは難しくなる。
すでに遠征計画をキャンセルした高校もある。寒冷地の高校は実戦経験を積めなくなる。そんな不公平感をなくす意味でも、練習試合はすべてやらない方がいい。
何より生徒の健康、安全のためにも、いまは集団で移動したり、他校と交流したりすることは避けなければならない。だから選抜大会に出ない高校も、他校との練習試合を控える。
休校するかしないか、部活動をどうするかの判断については、地域や学校の事情によって対応が分かれるのは仕方ない。仲間と一緒に練習できるチームは、それだけでも幸せだ。
今は考えられる対策をした上で、状況が改善するのを待つしかない。(編集委員・安藤嘉浩)
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