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 若者が新型コロナウイルスに海外で感染する例が相次いでいる。京都産業大では懇親会で学生たちに広がった。症状が軽く活動的な若者が感染を広げれば、爆発的な拡大の危険性が高まる。自分は軽症で済んでも、その先に高齢者や持病のある人など重症化のリスクが高い人がいる。そのことに想像をめぐらせてほしいと専門家は呼びかける。

 「非常に危惧すべきだ。学生のみなさんは卒業、入学、就職の節目で集まる機会が多いと思うが、感染拡大を防ぐという思いで慎重に行動してほしい」

 京都府の西脇隆俊知事が30日、緊急会見で呼びかけた。京都産業大(京都市)で前日までに8人の感染が確認され、さらにこの日、8人が陽性とわかり、感染者は学生ら計16人に膨らんだ。クラスター(小規模な感染集団)が発生したとみられている。

 京産大などによると、うち3人は、今月2~13日に欧州(イギリスやアイスランド、スイス、フランス、スペイン)を旅行した4年生の男子学生。帰国後にゼミやサークルの懇親会に参加し、その後、発熱したという。帰省した学生もおり、それぞれ愛媛県、石川県、京都府で感染が確認された。

拡大する写真・図版記者会見する京都市の門川大作市長(左端)と京都産業大の大城光正学長(中央)=3月29日午後7時4分、市役所、高嶋将之撮影

 愛媛県出身の学生が参加したゼミの懇親会は帰国から約1週間後の今月21日にあり、約30人が参加した。カラオケを含め3次会まであったという。うち11人が京都府や和歌山県などで次々に陽性と判明。石川県出身の学生らが参加した同22日のサークル懇親会でも、十数人の出席者のうち2人の感染がわかった。

拡大する写真・図版京都産業大の学生らの感染状況

 京産大の大城光正(てるまさ)学長は29日、「大学として、もっと徹底して注意喚起をし、学生に自覚を促しておけばよかった」と陳謝。授業の開始を5月11日に延期し、4月12日まで学生の課外活動を全面的に禁止した。

 海外から帰国した学生の感染が判明したケースは、県立広島大でもあった。

 今月5~13日に欧州(英国やフランス、スペイン、ドイツ)を旅行した女子学生で、体調を崩す前の同23日に広島キャンパス(広島市)で開かれた学位記授与式に出席していた。

 式は約15分間。窓はすべて開放され、机は1人ずつ離した状態だった。広島市は式での濃厚接触者はいないと判断したが、大学は出席した卒業生約270人に、4月6日まで自宅で待機するよう促している。

 中村健一学長は「自粛要請の中で行動に迷うこともあると思う。自己責任という言葉で片付けるのではなく、社会への影響を考えて」と取材に語った。大学は4月3日に予定していた入学式の中止をすでに決めており、今後、授業開始の時期も検討する。

拡大する写真・図版卒業生の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表する県立広島大学の中村健一理事長(中央)=2020年3月29日午前、広島県庁、八田智代撮影

 東京都の小池百合子知事は30日に開いた緊急の記者会見で「感染経路が不明な人が増えている」とし、「特に若者にはカラオケやライブハウスへの入店を当面自粛していただきたい」と述べた。

 国立大学協会の永田恭介会長(筑波大学長)は今月5日、全国の学生に遠出や帰省などの自粛を求める異例のメッセージを公表。「若者は、感染していても症状が出ない場合もあり、自分自身が感染源となって他者に感染させる可能性も十分にあることを自覚してください」と指摘し、「居住地域を越えての移動は、全国に感染を広げることにつながりかねない」と呼びかけている。(高嶋将之、成田愛恵)

助かる命を救うため、気を付けるべきこと

 政府の専門家会議のメンバーの押谷仁・東北大学教授(ウイルス学)に、感染を広げないために気をつけるべきことを聞いた。

拡大する写真・図版感染を拡大させないために控えるべき行動

   ◇

 若者は活動的でサークルなどで大勢が集まる機会も多く、いったん感染が発生すると大きな集団に感染が広がる。

 若い人たちは自分は症状が軽くて済んでも、感染が広がった先には高齢者や、持病があり重症化する人がいる。感染者が増えると医療機関の余裕が無くなり、本来なら助かる命が救えなくなる。そうした可能性に想像をめぐらせ、自らが感染する、させる行動は控えてもらいたい。

 感染が起きやすい「ホットスポット」に行くことは当面避けて欲しい。ホットスポットとは、閉じられた空間で他の人と密に接する場所だ。大勢での飲み会や会食、特定の人が客を接客するタイプのバー、大きな声を出したり歌ったりするイベントや会合、室内でするハーハーと息が上がるようなダンスや卓球、ジムでの運動などだ。

拡大する写真・図版押谷仁・東北大学教授=山本和生撮影

 また、今は世界中どこででも感…

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