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 かつては「不治の病」と言われたこともあった小児がん。医療の進歩で、治癒できる患者が増えたが、治療の影響が成長してから表れることもわかってきた。そんな「小児がんサバイバー」が、大人になってからも健康を保てるよう、人間ドックの費用をクラウドファンディングで募り、支援する試みが始まっている。

 小児がんは15歳未満の子どもがかかる。1万人に1人くらいの発症率とされ、白血病や脳腫瘍(しゅよう)などがある。現在は70~80%が治癒できるようになった。

 一方で、成長期に放射線や抗がん剤治療を受けることによる影響が、大人になってから表れることがある。「晩期合併症」と呼ばれ、二次がんや発育障害、心臓や呼吸器の異常など様々なものがある。

 こうした成長後の病気を人間ドックで発見しようと、筑波大付属病院(茨城県つくば市)は、2018年に「小児がんサバイバードック」を開設した。病歴や治療歴をもとに定期的な診察を受ける「長期フォローアップ外来」(保険診療)と併せて受診してもらうことで、晩期合併症を早期に見つける狙いがある。

 ただ、ドックは自由診療で7万~10万円かかる。晩期合併症は20代~30代で表れることもあるが、この年代のドックや検診を補助する枠組みはない。筑波大病院ではこれまで、研究に参加してもらうことで一部を助成してきたが、より多くの人たちが受けられるよう、クラウドファンディングで費用を募ることにした。

 企画した小児科の福島紘子医師は、「この時期のドック受診は本人の負担が大きい。つらい闘病を経て守られた命が次の病気で苦しむことがないよう、早期発見・治療につなげたい」と話す。

 10歳の時に白血病と診断され、その後、入院生活を経て病気を克服した大学生の吉田涼さん(22)は、昨年3月に初めて小児がんサバイバードックを受けた。研究に参加する形で受診したため、自己負担額は3万円。心電図や内視鏡など様々な検査で全身の状態を調べた。

 吉田さんは「小児がんを経験した自分は、そうでない人と比べてどんなリスクがあるのかと心配だった」と話す。幸い、ドックで異常は見つからなかった。医師の診察に加え、看護師に詳細な生活相談に乗ってもらうこともできた。「たくさんの人たちによってつながれた自分の命を大切に、これからも過ごしたい」という。

 クラウドファンディングでは、25人にドック費用の半額を補助することを目標に、150万円を募っている(https://readyfor.jp/projects/ccs-kenshin別ウインドウで開きます)。締め切りは5月29日。(松本千聖)