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 今年のコメの食味ランキング(日本穀物検定協会発表)で、最上級の「特A」54銘柄のうち16銘柄を占めたのがコシヒカリだった。誕生から64年。「還暦」を過ぎてなお、品種の頂点に君臨するコシヒカリは、実は当初、「劣等生」の烙印(らくいん)を押されていた。その波乱に満ちた黎明(れいめい)期の軌跡をたどった。

奇跡のコメ

拡大する写真・図版最高ブランドの魚沼コシヒカリを収穫する農家=2019年9月、新潟県南魚沼市寺尾

 「コシヒカリのような品種はもう生まれないかもしれない」。新潟県農業総合研究所(長岡市)の前育種科長、小林和幸さん(56)が話す。一つの品種の寿命は15年程度といわれる。気候の変化に適応できなかったり、新たな品種に代わられたりするからだ。コシヒカリの誕生は1956(昭和31)年。64年が過ぎ、「これだけ長く現役でいるのは珍しい」と言う。

強運

拡大する写真・図版コシヒカリを育成した石墨慶一郎氏の銅像=福井県坂井市丸岡町

 コシヒカリの特徴の一つは栽培エリアの広さだ。東北から九州に及ぶ作付面積は全国の35%に達し、2位の「ひとめぼれ」の4倍近くになる(2018年)。「“血筋”が影響しているのだろう」と小林さんは推測する。

 コシヒカリは、新潟育ちの農林1号を父とし、兵庫県で誕生した農林22号を母とする交配から生まれた。「両親」が北と南のコメだったことで、広いエリアで栽培できる適応力を身につけた可能性があるという。

 交配は1944(昭和19)年、新潟県農事試験場(現新潟県農業総合研究所)にあった国の水稲品種育成試験地で行われた。戦時下であり、食糧増産のための丈夫な稲が求められた時代だった。しかし、コシヒカリは稲の大敵であるイモチ病に弱く、実がつくと倒れやすい。丈夫になりきれない「ひ弱な劣等生」だった。

 「コシヒカリを生んだ七つの奇…

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