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 国内外で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、安倍政権は全国の小中高校や特別支援学校の一斉休校を要請し、国民に協力を呼びかけた。一連の国主導の危機管理(リスクマネジメント)を、専修大教授でジャーナリストの武田徹さんは、「自発的に『下からの総動員体制』を生み出す条件が整いやすい」と懸念する。一方で、政府、専門家、市民の間で分断が起きた東日本大震災後の事態に学び、今回の教訓にすべきだとも。どういうことなのか。

 たけだ・とおる 1958年生まれ。専門は社会学、メディア論。著書に『「隔離」という病い』『原発報道とメディア』など。

一億総自己責任社会に

 ――新型ウイルスへの不安は日々高まり、混迷は深まっています。

 「自動車は動かさなければ交通事故は起きずリスクはゼロだが、全ての自動車を止めれば社会の基礎的な機能が喪失し、より大きなリスクを生む。そこで、今の文明社会は交通法規や運転免許制を整え、様々な技術を開発して自動車を走らせるリスクをできるだけ減らし、社会的に受け入れられるものにしてきた」

 「感染症も同じだ。感染経路を断つために感染者やその周辺の接触者を隔離すれば、感染リスクは減らせるが、隔離された人の移動の自由や集会の自由などの基本的人権が侵害され、物流や情報の流れが滞り、社会的損失につながるなど、別のリスクを生む可能性がある。感染症対策の制度設計は本来、医学の専門家に加えて人権に詳しい法律家や社会学者などの知見をふまえる必要がある」

 ――一斉休校の評価は?

 「新型ウイルスは若者の重症化率が低いといわれるが、児童・生徒を経由した感染拡大のリスクはゼロではなく、休校には一定程度のリスク軽減効果がある。だが、共働きやひとり親の家庭は平日昼に子どもが学校にいる前提で成り立っている。いち早く休校措置をとった北海道では病院の看護師が不足し、診療体制が維持できなくなった例もある。学びの場を突然奪われる児童・生徒の問題もある。共に学ぶことによる教育効果が失われる不利益も大きい。全国一斉の休校は本当に必要か。代替手段はないか。安倍政権が慎重に検討した形跡は見えてこない」

 ――学校現場や自治体首長からは「場当たり的だ」「地方に丸投げか」などと批判の声が上がりました。

 「政権の休校要請は、各学校を…

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