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 大きな災害で被災した時に支給される支援金などを、受け取れない人たちがいます。なぜなのか。背景には、支援金支給の仕組みがあります。

夫の通帳にいくら入ったのかも知らない

 「支援金のことは、まわりの人から『入っている』と聞いたけど……。夫は自分の通帳は隠しておくからね」

 宮城県内に住む60代後半の女性は、こう話す。2011年に東日本大震災が起きた時は、夫と農業を営んでいた。自宅と畑が浸水し、被災者生活再建支援金が支払われたはずだが、世帯主に振り込まれる制度のため、夫の通帳にいくら入ったのかも知らない。

 第1子妊娠中、夫の暴力が始まった。殴られ、顔にも青あざが出来た。今も寒い時期には、昔蹴られて折れた肋骨(ろっこつ)が痛む。うつになり、自殺未遂をしたこともある。

 アルコールとパチンコ依存症だった夫が使ったお金は「家1軒が建つくらい」。震災前、土地が売れた時には「お前には関係ない」と言われた。子どもの学資を夫の両親に頼ったこともあった。

 震災後、まだ親戚の行方が分かっていない頃から、夫はパチンコ通いを再開。早朝から夜まで働きづめで離婚を考えたこともなかった女性は、震災後に相談窓口を知り、夫のもとを去った。働いたこともあったが、うつの症状が悪化したため、いまは生活保護を受けて暮らす。

 DVや性暴力の被害者支援を続けるNPO法人「ハーティ仙台」の代表理事、八幡悦子さんは、震災後、一括で手に入るお金を使ってしまう夫に苦しむ女性を数多く見聞きした。個人単位で支払う制度に変えるべきだと訴える。

 原発事故に関する東京電力からの賠償金でも同様の問題が起きた。

 11年5月から2年間、福島県で女性のための電話相談の運営を担当した丹羽麻子さんは「生活費や賠償金を夫や親族に握られてしまい、困窮に追い込まれているという訴えが多かった」と振り返る。

 70代の女性からは「賠償金が…

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