あおり運転を規定、罰則を創設 道交法改正案を閣議決定

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八木拓郎 編集委員・吉田伸八
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 「あおり運転」(妨害運転)を新たに罪と定める道路交通法改正案が3日、閣議決定された。通行を妨害する目的で、急ブレーキや車間距離を詰めるといった違反を繰り返すなどの行為と規定。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金で、高速道路でほかの車を停止させた場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金とする。今国会で成立すれば、夏までに実施される。

 対象の違反には、急ブレーキや車間距離不保持のほか、急な車線変更(割り込み)▽幅寄せや蛇行運転▽左からの追い越しや乱暴な追い越し▽ハイビームの継続▽不必要なクラクション▽低速度走行――など全部で10の行為を定めた。これらをしつこく行うなどした場合、交通の危険があると判断する。

 高速道路や自動車専用道路でほかの車を停止させたり、一般道でも衝突しそうになったりするなど「著しい交通の危険」を生じさせた場合は罰則を重くする。これまで悪質な運転の取り締まりに適用してきた暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金など)や、強要罪(3年以下の懲役)を参考にした。

 行政処分は、一度で免許取り消しとする。

 現行の道交法にあおり運転そのものの規定はなく、警察は様々な法令を駆使して取り締まってきた。中でも道交法の「車間距離保持義務違反」を適用することが多く、昨年1年間の取り締まり件数は全国で1万5065件だった。警察庁が摘発の強化を指示した前年より15・7%多く、この3年間で2・1倍に増えた。

 また、法務省では、法制審議会が2月、自動車運転死傷処罰法を改正するよう森雅子法相に答申。通行妨害目的で、自分の車を他人の車の前に停止するなどして、他の車を停止させたり徐行させたりする行為を危険運転の定義に追加する。けがをさせた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の懲役となる。これも今国会に改正案が提出される方針だ。

 現行法でも妨害目的の割り込み行為などは処罰できるが、加害者側が「重大な交通の危険を生じさせる速度」で運転していることが条件だった。このため法制審は答申で、高速道路などでは速度に関する要件を外した。

 今回の改正案には、高齢ドラ…

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