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 欧州連合(EU)の行政機能を担う欧州委員会は4日、地球温暖化の原因になっている温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を盛り込んだ「欧州気候法案」を発表した。現在の温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」をさらに野心的にした内容で、環境分野で世界を主導することを狙う。

 法案は目標達成のため、EU加盟国に協調して必要な対策を講じることを義務づける。欧州委は、対策が不十分な国に対して勧告する権限を与えられる一方、温室効果ガスを多く排出する石炭火力などへの依存度が大きい国に財政支援をする。

 目標達成のカギに位置づけるのが、技術革新だ。欧州委は今後10年間で環境分野で、官民合わせて1兆ユーロ(120兆円)の投資を促す計画を作っている。目標達成の過程で、環境産業を育成することも狙う。

 ただ、法案は早くも環境団体の批判を受けている。現段階で、より近い将来である2030年の目標が盛り込まれていないことについて、国際環境NGO・グリーンピースは「行動すべきは今で、10年後ではない」との声明を出した。

 世界の若者に大きな影響を与えているスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんはこの日、欧州議会で演説。ロイター通信によると、「家が燃えているときに、火を消し始めるのに数年待つことはしない。今日の欧州委の提案はまさにこういうことだ」と法案を非難。環境分野を担当するティマーマンス上級副委員長は会見で、「トゥンベリさんと我々はアプローチが違う。我々は技術(革新)についてより楽観的だ」と話した。(ブリュッセル=津阪直樹)