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 熊本県知事選が5日、告示され、正午の時点で、前熊本市長の新顔、幸山政史氏(54)と、現職の蒲島郁夫氏(73)が、いずれも無所属で立候補を届け出た。新型コロナウイルスの感染者が県内でも相次ぎ確認され、一時は選挙の延期も検討されていた。両陣営は感染拡大を防ぐため出陣式をしないなど、異例の選挙戦になっている。22日に投開票される。

 熊本地震から4月で4年になり、復旧・復興事業は落ち着いてきた。新型コロナウイルスの影響も出始めた地域経済の活性化、人口減少、地域格差などが課題になっている。

 立候補の届け出は、午前8時半から県庁であった。両陣営は県選挙管理委員会から、腕章や事務所の標札など選挙運動用の「七つ道具」を受け取った。

 選挙の初日は出陣式がつきもの。集めた支持者の数を競い、勝利に向け気勢を上げる欠かせない行事だが、両陣営は新型コロナウイルスの感染が広がらないよう取りやめた。選挙中、総決起集会など大規模な集まりも控える。

 この朝、両陣営の関係者は神社で必勝祈願をした。

 幸山氏の陣営は午前8時から、熊本市中央区の加藤神社で必勝祈願。そのまま神社境内で「出発式」をした。陣営によると、通常の出陣式のように参加の呼びかけはしておらず小規模だった。幸山氏と支持者らは、互いに握手はせず、距離を取って手も触れあわぬまま、ハイタッチをするようなそぶりをして団結を確認した。

 幸山氏は2月下旬の時点で、新型コロナウイルス感染症の広がりを理由に県選管に知事選の繰り延べを申し立てていた。出発式では、前日に県内で6人目の新型コロナウイルス感染者が確認されたことに言及し「こんな状況の中で選挙をやっていいのか。県民の命・健康を最優先に考えると、繰り延べすべきだったとの考えは今も変わりはない」と改めて訴えた上で、選挙実施を決めた選管の「決定には従う」と述べた。キャンセルが相次ぐ宿泊・飲食業などを念頭に「正面からしっかり対策に取り組みたい」と力を込めた。

 蒲島氏の陣営は午前9時から、熊本市中央区の出水神社で必勝祈願祭をした。蒲島氏本人は新型コロナウイルスへの対応など公務に専念するためとの理由で参加せず、全面支援を決めた自民の県連会長や県選出国会議員、公明の関係者らが出席。神事の前にスタッフが出席者の手に消毒用アルコールを吹きかけ、マスクを配った。議員らは感染防止のガーゼを巻き付けたマイクであいさつした。

 蒲島氏は午前8時半に県庁に登庁後、記者会見をし「新型コロナウイルスから県民の命と健康を守るため、公務を最優先にした」と述べた。公務外の時間で動画を撮影し配信したり、SNSで政策をアピールしたりするなど、人が集まる必要の無い選挙運動を展開する考えを改めて示した。「有権者と直接交流できる選挙運動をしない不安はあるが、今朝、支援者から『選挙はしっかりやるから、ウイルス対策に専念してくれ』という電話があり、安心したし、うれしかった」と語った。(神﨑卓征、矢鳴秀樹、渡辺七海)