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「――取舵(とりかじ)いっぱーいぃ!」

 二十七日午後一時五十五分。東郷平八郎司令長官の声で、旗艦“三笠”を先頭とする連合艦隊は、大海原で一斉に左にターンし始めた。ドンッ、ドンッ! 敵艦隊が先に砲撃を始めた。連合艦隊はこれによく耐え、縦一列に並んで進むバルチック艦隊の前に、横一列に並んだ。

 同午後二時五分。ターン完了! 敵艦隊との距離、このとき、約六千メートル!

「――撃ち方、始めぇーっ!」

 進軍ラッパが高らかに鳴った。ドンッ! ドンッ! ドンッ! 連合艦隊が一斉に砲撃を始める。

 ぼくは艦橋に立ち、両手で耳を庇(かば)いつつ、大海原を見渡した。縦一列に並ぶ無敵のバルチック艦隊を前に、連合艦隊は横一列。例えるなら“T”の字の“I”部分に敵艦隊が、“一”部分に連合艦隊がいるという形だ。なるほど! 先頭の一艘(そう)に対し、こちらは全艦で攻撃できるわけだ。戦闘力で劣っている場合、有効な作戦だ。

 連合艦隊は一艘、また一艘と、…

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