拡大する写真・図版岩手県陸前高田市にある「奇跡の一本松」=同市提供

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東日本大震災9年、現場から④

 「奇跡の一本松」を背に笑顔で写真におさまる男性たち。その姿を横目に、散歩中の女性(65)は記者につぶやいた。

 「あの人たちが少しでも津波を学んでくれたら、それでいい。それが一歩じゃねぇのかな」

 震災で1559人が亡くなった岩手県陸前高田市に昨年9月、「東日本大震災津波伝承館」がオープンした。連日観光バスが立ち寄り、来館者はすでに12万人を超えた。でも、数百メートルの距離に住む女性(55)は、同じ敷地内にある道の駅に買い物には行っても、伝承館には入らない。

 「あのときの体験だけで、もう十分。できれば思い出したくない」。9年前のあの日、高台から津波にのみ込まれていく街を見た。自宅も跡形もなく流された。

 「これ以上、被災者を傷つけるのはどうか」。開館前、展示内容を検討する場でも、そんな意見が有識者から出ていた。

拡大する写真・図版昨年9月にオープンした東日本大震災津波伝承館=2020年2月26日午後、岩手県陸前高田市、小玉重隆撮影

 市街地が丸ごと消えた市の中心部では、6メートル以上のかさ上げが進み、大型商業施設に人も行き交うが、それ以上に空き地が目立つ。202人の行方はいまも分かっていない。

 それでも館内には、三陸の街をのみ込む7分に及ぶ津波の映像が流され、屋根がひしゃげた消防車の実物が展示された。

伝承に向き合う
伝承館の解説員には、何度も見てきた津波の映像に立ちすくみそうになる人もいます。それでも語り続ける理由とはーー。

 〈一人が自宅に戻ってしまい、…

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