川野由起
宮城県気仙沼市の漁師日野智雄さん(62)が、1日1、2行ほどの日記をつけ始めて、11日で9年になる。
父の正さん(当時78)、母のスエ子さん(当時77)と川原漁港近くの家に暮らしていた。あの日、揺れに襲われて家を飛び出し、地元の消防団員として水門を閉めに回った。津波の到達を知り、慌てて団員を乗せた車を高台へ向ける中、真っ黒な水が、自宅一帯をのみ込んでいくのを見た。
水が引いて戻ると、家は2階の天井近くまで津波に襲われ、大破していた。両親の姿は見えない。消防の屯所で夜を明かした。
翌朝、家の近くで両親が亡くなっているのを見つけた。傷もなく、眠っているようだった。「自分の手で見つけられたから安心した」。波は速く、きっと難しいだろうと覚悟はしていたが、言葉が出なかった。現役漁師の父は作業着姿だった。この日、15人ほどの遺体を運んだ。
近所に住む弟は、両親をトラッ…
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