拡大する写真・図版震災後、初めて故郷の海を訪れた阿部佐那さん。心のモヤモヤが晴れて、「すがすがしい気持ちです」=2020年3月2日午後、宮城県女川町、小玉重隆撮影

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 傘にあたる雨音よりも、徐々にウミネコの鳴き声が大きくなる。宮城県女川町。大学2年生の阿部佐那さん(20)は、海へ近づくにつれて笑顔になった。9年ぶりに来た女川の海。潮の香りを吸い込んだ。

 海に面した赤い屋根の3階建てレストラン。包丁を握る父の義彦さん(当時43)は忙しく、話すのはいつもお風呂だった。「こうやってのぞけば海が見えるんだぞ」。言われた通り窓の外を見ると、家と家の間に海が見えた。湯船につかり、学校や友だちのこと、何でも話した。

 進学先のことでけんかしたのも、お風呂の中だった。父の望みは、自分の母校でバトントワリングの強豪校でもある大阪のPL学園へ進むこと。でも佐那さんはバトンの教室を辞めたばかり。いかないと伝えると、父は「なんで?」とむくれた。「もう決めたから」。そう言って、先に風呂を出た。それが最後の会話になるとは思いもしなかった。

 翌日、小学校で揺れに襲われた…

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