拡大する写真・図版2020年2月11日、テヘラン西部でイラン・イスラム革命41周年の記念式典に参加し、米国旗を燃やす人たち=AP。米国による制裁も、被害拡大の要因として指摘されている

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 新型コロナウイルスの感染と死亡者の増加に歯止めがかからない中東の大国イラン。副大統領らへの感染が確認され、最高指導者ハメネイ師の側近も死亡するなど、危機的状況に陥っている。刑務所からの受刑者の一時釈放、集団礼拝の中止、さらには離婚の禁止――。あの手この手で感染防止を模索するが、先が見えない。

 3月初旬のイランの首都テヘラン中心部。例年ならば、バザール周辺だけでなく、街中には路上で衣服や花火、植物などを販売する店であふれかえる。20日に迎えるイラン暦の新年(ノウルーズ)に向けた商戦が始まるはずが、いまはその姿もまばらだ。商人たちのかけ声も全く聞こえてこない。

拡大する写真・図版テヘラン北部のバザールは新年商戦の時期にもかかわらず、閑散としていた=2020年3月9日、テヘラン北部、テヘラン支局スタッフ撮影

 政府は不要不急の外出や通勤を控えるよう求めており、街中が自粛ムードに包まれている。テヘラン北部のバザールで20年以上布製品を販売してきたジャムシード・ムサビさん(51)は「バザール全体がゴーストタウンのようだ。こんなノウルーズ前の状況は経験したことがない」と肩を落とす。普段は座る席を探すのに苦労するテヘラン北部の大型商業施設のフードコートも、昼時になっても閑古鳥が鳴く状態だ。

 イランでは12日現在で429人が死亡、1万75人が感染した。治癒した人も3276人いるが、市民は見えない脅威に不安を隠せない様子だ。大学生のネダ・カリミさん(24)は「ウイルスがどこにあるかわからず、恐怖を感じている」と語る。

「デマ」で27人死亡

 交通渋滞も、ここ数週間はウソのように消え失せた。地元メディアによると、8日にはテヘランの車の交通量はここ12年で最少になったという。

拡大する写真・図版テヘラン北部のバザールに近い地下鉄駅の入り口。通常時と比べ交通量は激減している=2020年3月9日、テヘラン支局スタッフ撮影

 イランでは大気汚染を原因とする死者が年間4万人近くに上ることもあるが、マスクをする人は多くなかった。大気汚染が深刻になる冬は、交通整理の警察官やタクシー運転手らがつけているのを見ることがあるが、一般市民はあまりしない。だが、新型コロナウイルスが流行し出すと、店頭からはマスクが消えた。街中でもマスク姿が目立つようになった。

 市民も相当神経質になっているようで、支局スタッフも家族に「外に出ない方がいい」と釘を刺したという。

拡大する写真・図版街中ではマスク姿の市民も目立つようになった=2020年2月末、テヘラン、杉崎慎弥撮影

 偽情報も出回っている。国営通信によると、感染した場合の治療に役立つとのデマがインターネット上で流れ、南西部フゼスタン州などで、劣悪な質の密造酒を飲んだ27人がメタノール中毒で死亡する事態も起きたという。

 街中では、イランの人たちは特…

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