拡大する写真・図版「特集 人生を考える」として集められた電子書籍の一部=熊本市電子図書館の特集ページから

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 新型コロナウイルス対策として休館中の各地の図書館が、学校が休校中の子ども向けのサービスに取り組んでいる。電子図書館やデジタルアーカイブを活用、自宅にいながら所蔵資料を楽しめるようにしている。

 「笑って、喜んで、豊かで居られる明日を。泣いて、悲しんで、つらい時でも乗り越えられる力を」

 こんな紹介文がそえられた「特集 人生を考える」が6日、熊本市立図書館が運営する電子図書館で公開された。「漫画 君たちはどう生きるか」(吉野源三郎原作)や「人生にお金はいくら必要か」(山崎元著)など電子書籍62件を集めた。坂本三智雄館長は「この機に電子書籍を活用し、じっくり読んでもらえたらありがたい」と話す。

 同館は2月29日から休館し、再開は未定だ。本来は貸し出しや返却などのカウンター業務を担う職員を電子図書館の整理に回し、新たな電子書籍の発注・入荷を急いでいる。9日には小中高校生向けに「特集 今、君たちに読んでほしい100冊」を公開した。

拡大する写真・図版小中学生向けの絵本や自宅学習用教材の電子書籍の特集=堺市立図書館の電子図書館トップページから

 休館中の大阪府の堺市立図書館は、休校で授業を受けられない小中学生を対象に、電子図書館で特集を組んだ。絵本・読みもの108種と自宅学習教材74種をリストアップしている。担当者は「借りるのも返すのも手間がかからない。少しでも興味があれば気軽にクリックしてほしい」と呼びかける。

 大日本印刷と共に電子図書館のシステムを提供する「図書館流通センター」(東京)によると、全国で1日現在、自治体運営の約3300館のうち75自治体275館が電子図書館を導入。導入済みの各地の図書館で、体操や片付け、迷路やパズルなど家でできる趣味を紹介する電子書籍の特集などが組まれている。

 独自に既存のデジタル資料を加工し、利用者に機会を提供する図書館もある。

 31日まで閲覧や予約以外の貸し出しなどを休止している横浜市立図書館は、ウェブサイトに「おうちで楽しめるコンテンツ」と題した親子向けのページを開設。未就学児を対象にわらべうたと手遊び歌を紹介する動画や、印刷すると塗り絵ができるPDFファイルなどを載せている。また、学年や年齢に応じて司書が本を選んでくれる電話予約のサービスも行っている。

拡大する写真・図版デジタル化された錦絵や絵はがきを通して春の花の名所を紹介するページ=大阪市立図書館デジタルアーカイブから

 大阪市立図書館は、古文書や古地図など約2万9千点を公開しているデジタルアーカイブを活用。ウメやサクラなど春を感じさせる花の名所を描いた錦絵や絵はがき計10点を集め、ウェブサイトで紹介している。大阪の春の風物詩として知られる造幣局の「桜の通り抜け」も今年は中止。担当者は「ネットの世界でお花見を楽しんで、少しでも明るい気持ちになってもらえたら」と話す。(花房吾早子)

拡大する写真・図版デジタルアーカイブを紹介する大阪市立図書館のツイッター。画像は昭和初期に描かれたとみられる大阪・造幣局の絵はがき=同館提供

電子図書館の使い方

 自治体が運営する各図書館の貸し出しカードを持っていることが前提。窓口か図書館のウェブサイトを通し、ログインに必要な利用者IDとパスワードを取得する。ログイン後、電子書籍の閲覧や貸し出し・返却、予約ができる。郷土資料や広報誌の電子版は誰でもログインなしで読める場合もある

デジタルアーカイブの使い方

 多くの場合、図書館の貸し出しカードを持っていなくても、インターネットがつながれば誰でも無料で閲覧できる。大阪市立図書館のデジタルアーカイブでは、著作権切れの資料を同館の許諾を得ずに無料でダウンロードし二次利用できる