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 トランプ米大統領は13日、新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため国家非常事態宣言をした。500億ドル(約5兆4千億円)に上る連邦政府の予算を充て、検査や治療態勢を拡充する。初動の甘さに批判が強まり、経済の先行き不安から米株式市場も暴落を続けるなか、政権として対策への強い姿勢を示す狙いとみられる。

 トランプ氏はホワイトハウスのローズガーデンでペンス副大統領や保健当局者を従えて会見。「我々がうまくやっていたのは最初だけで、難しい状況に入った。連邦政府の全力を解き放つために国家非常事態を宣言する」と述べた。

 今回の宣言は、自然災害などの際、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の権限を強め州政府などを支援できるようにするスタフォード法に基づくもので、連邦政府の予算を柔軟に地方での対策に使えるようになる。

 2000年の西ナイルウイルスの感染拡大に際し、媒介する蚊の駆除の予算確保のため、当時のクリントン政権が非常事態宣言したことがある。

 トランプ政権は中国で感染が拡大していた1月末に中国からの渡航制限を行い、ウイルスの侵入阻止を図った。一方、国内で感染の早期発見につながる検査態勢が整わず、州政府やメディアから批判されてきた。

 この日、トランプ氏は「私には全く責任はない。ルールや規制が遅れを生んだ。すぐに何百万もの検査が受けられるようになる」と述べた。民間企業と協力して検査機器の供給を増やし、韓国が先行する「ドライブスルー」方式の検査拠点を設けたり、学生ローンの金利を免除したりするなどの政策も打ち出した。

 また、トランプ氏は、新型肺炎への感染が確認されたブラジル大統領府広報局長と夕食会をともにし、一緒に写真を撮っていたが、自主隔離については否定する一方、「私も近く検査を受けることになるだろう」と述べた。

 CNNによると、米国では東部時間13日午後7時時点で2100人以上の感染が判明し、48人の死亡が確認されている。ホワイトハウスによるとすでに、32州などが独自に非常事態を宣言。ニューヨーク州が感染地域に「封じ込め区域」を設けて学校や宗教施設を閉鎖するなどしている。

 南部ルイジアナ州は来月4日に予定していた米大統領選の予備選を6月20日まで延期すると発表した。(ワシントン=香取啓介)