拡大する写真・図版「月光仮面」の像。頭部には黄色い月の形が映える

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 「誰もがみんな知っている」、昭和のヒーロー「月光仮面」の像が、北海道函館市にある。函館出身の原作者が約45年前に寄贈した。長年、子どもたちに愛された作品。その「哲学」を受け継いだご当地ヒーローが、この街にいるという。

 JR函館駅から、市電が走る国道278号沿いに東に歩く。繁華街の大門地区を横目に見て約5分。中央分離帯が「はこだてグリーンプラザ」と呼ばれる公園になっている大きな通りが広がる。

 「月光仮面」の像は、遊具や木々が並ぶ、この広場に立っている。

 白い覆面にサングラス、体を包むコスチュームも白が基調だ。高さは約2メートル。すっくと背を伸ばし、右手にピストルを構える姿がりりしい。

 子ども向けの実写ドラマとして「月光仮面」がテレビに登場したのは1958年のこと。72年にはアニメ化され、再び、子どもたちの心をつかんだ。

 函館では73年、子どもの遊び場として「はこだてグリーンプラザ」ができ、翌年9月、公園の一角に像が建てられた。

 「生みの親」は函館出身の川内康範氏(1920~2008年)だ。脚本家、作詞家、作家として多彩な才能を発揮した人物として知られる。像は公園の完成を祝って、川内氏が「郷里の子どもたちのために」と贈った。

 「憎むな 殺すな 赦(ゆる)しましょう」

 「月光仮面」が立つ台座には、原作者、川内氏の思いが刻まれている。

拡大する写真・図版「月光仮面」の像が立つ台座には、原作者の川内康範氏の思いが掲げられている

 途中、公園の改修に伴い移設されたが、約45年間、「正義の味方」は、ここで遊ぶ函館の子どもたちを見守ってきた。

 「僕も、その一人」

 市内の公務員中野三博さん(49)は親に連れられ、大門に買い物に来るたび、この公園で遊んだ。ただ、「月光仮面」は実写ではなく、アニメの再放送で見た世代だ。

拡大する写真・図版「月光仮面」の像を前に「ここは特撮ヒーローの聖地です」と語る中野三博さん=2020年2月11日午前9時56分、函館市松風町、三木一哉撮影

 「特撮ヒーローといえば、快傑ズバットや仮面ライダー、ウルトラマンシリーズでしたね」

 ヒーロー役、悪の組織のリーダー。子どもたちはなりきって、ジャンプやキックをして、きざなせりふを決めた。

 中野少年が当時、納得いかなかったのは、怪獣も怪人も登場するのは東京が多く、函館には来ないことだった。怪獣や怪人が現れないことには本物のヒーローも来ない。

 高専に進学した後、興味は「機動戦士ガンダム」などのプラモデル製作に移っていった。だが、特撮ヒーローはずっと好きだった。初めて実写の「月光仮面」のモノクロ映像を見たのはこのころだ。

 悪人をやっつけるが、殺しはしない。正体を見せることなく去っていく。簡素な表現だが、作品の「哲学」に魅せられた。

 東京のメーカーに就職したが、故郷に戻り、函館の酒場で知り合った人たちに、特撮ヒーロー好きが多いことを知った。

 「函館のご当地ヒーローを作ろう」

 2013年に製作委員会を結成…

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