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 バレーボール日本代表主将の柳田将洋(27)は、静かに語り始めた。「子どもの頃、日本代表になるなんて、思ってもみなかった」

 小学1年の時、ある出来事がきっかけで、「バレーは絶対にやらない」と言った。小学5年で日本一になると、母は大切なことを教えてくれた。進路を決める時、離れて暮らす父はある信念を持って、助言をしてくれた。サントリーでは、尊敬する先輩との出会いがあった。バレーが大好きで、いつも努力を続けてきたから、今がある。

 東京・東洋高で全国制覇を果たし、慶大を経てサントリーへ。身長186センチとアタッカーとしては小柄ながら、日本代表の主力として活躍。2017年にプロ選手となり、欧州へ渡った。今季はドイツ1部のユナイテッド・バレーズでプレーする。鋭いスパイクとジャンプサーブ、そして強いリーダーシップで日本代表を引っ張ってきた。

 サザンオールスターズや福山雅治といった歌手や俳優と同じマネジメント会社に所属する。自身のファンクラブもある。今年1月にはドイツへの応援ツアーが開かれ、参加した多くのファンと交流した。「母親として子供にどう声をかけたらいいか?」。質問に一つひとつ丁寧に答えた。

 地元メディアの取材には、滑らかな英語で応じる。サントリー時代、昼休みに通訳と毎日特訓して、磨いていた。安定した待遇を捨て、海外へ渡ったのは、「お金は経験に変えられない」という思いからだった。

 今季はドイツのリーグで上位につけながら、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、リーグ戦やプレーオフが中止になった。3月17日夜に帰国した。その後、東京五輪の延期が決まった。「2021年に向けての目標ができ、新たなモチベーションを持つことができている」。近く日本代表に合流する。「東京五輪でメダルをつかみたい」。大きな目標に向かって挑戦は続く。(木村健一)