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 岩手県花巻市が市街地活性化のため取得したものの、有効な活用策が見つからなかった旧料亭「まん福」。市は新年度から解体方法の検討に乗り出す。ただ、屋久杉など今では入手が難しい貴重な木材をふんだんに使った歴史的な建物なだけに、建材を再利用できないか、「お宝鑑定」する。

 まん福は1935(昭和10)年建造で、花柳界の隆盛を支えた建造物。市は2013年、土地代5800万円を払って所有者から建物を無償で譲り受け、再利用を計画したが、耐震改修などに多額の費用がかかると取得後に判明し、塩漬けになっていた。

 市は昨年、民間に利活用案を募ったが、実現可能な提案は1件もなく、解体の方針を決定した。市契約管財課は「このままでは老朽化が進み、景観上も好ましくない」と説明する。

 ただ、悩ましいのは建材に希少価値があるとみられることだ。計64畳の大広間の天井は、樹齢2千年を超すとも言われる屋久杉の6尺物(約1・8メートル)の幅広材。ほかにも主要な床の間や柱には、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)、鉄刀木(タガヤサン)といった銘木が数多く使われ、市文化財調査報告書でも「特筆すべき」とされた。このため、市は解体にあたって建材の再利用を視野に入れ、資産価値の鑑定も含めて業者に依頼する方針で、20年度予算案に解体設計費を計上した。解体工事は21年度以降の予定。

 解体には「数千万円かかる」(同市)とみられるが、建材の価値が高く、再利用できれば、売却益で解体費が大幅に相殺される可能性があるという。担当者は「貴重な木材なので、市としても慎重に判断したい」としている。(溝口太郎)

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