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 激しい内戦に発展したシリアでの混乱が始まり、15日で9年がたった。ロシアの支援を受けるアサド政権軍が優位のまま、反体制派の主要拠点は北西部イドリブ県に残すのみとなった。政権軍が押し寄せイドリブが陥落すれば、内戦終結は決定的になる。行き場を失った避難民であふれる同県に朝日新聞記者が入った。「最終決戦」におびえる人々の姿があった。

拡大する写真・図版避難民キャンプで暮らす子供たち。昨年12月以降の戦闘激化で避難した96万人のうち、子どもが6割を占める=2020年3月9日、シリア北西部イドリブ県カファルルシン

シリア内戦とは
 2011年3月、中東の民主化運動「アラブの春」がシリアに波及し、自由や民主主義を求める反政府デモが各地に広がった。アサド政権は武力弾圧したが、反発する市民らが武装を始め、内戦に発展した。アサド政権を支援するロシアが15年9月から軍事介入したため反体制派は劣勢となり、北西部イドリブ県に追い詰められている。

広がるキャンプ地 すえた臭い

拡大する写真・図版アサド政権軍側の空爆で息子を亡くしたアブドルカリム・スーサさん(手前)。親族20人と避難民キャンプで暮らす=2020年3月9日、シリア北西部イドリブ県カファルルシン

 「安全なんていつ戻ってくるのか」

 トルコ国境に近い同県カファルルシンの避難民キャンプでアブドルカリム・スーサさん(67)は嘆いた。同県東部の激戦地サラキブから親族20人と逃れてきた。アサド政権軍側の空爆は、20歳の息子や大勢の親類の命を奪った。「息子は市場に行っただけだ。無差別攻撃だ」

 中東の民主化運動「アラブの春」がシリアに波及したのが2011年3月。政権は武力弾圧し、反発した市民らが武装し、内戦が続く。この反体制派は一時、北部や南部の主要都市も押さえた。だが、2015年からロシアの空爆支援を受けた政権軍が反転攻勢。反体制派支配地域の住民は次々とイドリブ県に逃げ込んだ。住んでいたことで反体制派と見なされ、政権からの迫害を恐れたためだ。その「最後の砦(とりで)」であるイドリブ県も空爆などの猛攻にさらされ、国連によると昨年12月以降だけで96万人が避難を強いられた。このうち6割は子ども、2割は女性が占める。同県の人口は内戦前の2倍の300万人に上っている。

 同県北部にはオリーブの畑や丘陵などいたる場所に避難民のテントが広がっていた。カファルルシンのキャンプには8万人が暮らす。支援を担うトルコのNGO「人道支援基金」(IHH)のセリム・トスン広報担当は「平らな場所はすべてキャンプで埋まった」と語った。

拡大する写真・図版見渡す限り広がる避難民のキャンプ=2020年3月9日、シリア北西部イドリブ県カファルルシン

 IHHは、安価で早く完成できるブロックを積み上げただけの簡易住宅の供給を急ぐが、避難民の急増には間に合わず、多くがテント暮らしだ。

 キャンプでは下水のすえた臭い…

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