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 山本くんは「そんなおかしな話があるか! いやしかし、日本海海戦の折、貴様は確かに未来を知っていたな……」と悩んだ。ぼくは、鋼鉄の箱にレバーと目盛(めもり)がついただけの簡易的な“エレキテル太郎六号”を急いで作り、火の鳥の首を入れた。首はだいぶ古び、カビの匂いもし、消えたり現れたりと不安定な状態だった。「山本くん、一年だけ時を巻き戻そう。すると君は、一年後の未来を知る千里眼となり、過去の世界に降臨する。陸軍の暴走を阻止するのだ」「う、うむ。鳳凰(ほうおう)機関……」ぼくはレバーを握った。そのとき、心の中で(我は魔導師にて千里眼……我が名は鳳凰機関……)とまるで自分ではないような低くて怖い声が響いた……。

 ぼくはレバーをぐっと引き……。

「――フェニックス、フライ」

 

 

  その六 大震災の日

 

「ギャーッ!」という女の凄(すさ)まじい声が辺りに響き渡っていた。こっ、ここは? 虹口(ホンキュウ)の三田村家の居間か。ぶじ十回目の世界にやってきたようだ……。声は二階の寝室から聞こえてくる。階段を上がり、寝室の扉に耳をつけた。それから「ま、まさか!」と気づき、廊下を駆けて便所に飛びこんだ。日めくりカレンダーで確認すると、なぜか約二年前……一九一五年の夏に戻っていた。そ、そして、この日付は……次女の麗奈の誕生日じゃないか! ぼくは今まさに三人目のお産という日に戻ってしまったのだ。

 ぼくは寝室の扉越しに「逆子だ…

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