[PR]

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止になった第92回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催、朝日新聞社後援)が開幕するはずだった19日、出場が決まっていた花咲徳栄(埼玉県加須市)の硬式野球部が校内のグラウンドで自主的な「開会式」を開いた。選抜旗とともに入場行進した選手たちは、気持ちを新たに夏の甲子園出場を見据えた。

 午前9時、選手たちは選抜大会の入場曲「パプリカ」に合わせて背番号のついた新品のユニホーム姿で行進。「花咲徳栄」と書かれたプラカードを持つ生徒の先導でダイヤモンドを一周し、まっすぐに整列した。

 本塁では校歌を斉唱した。同校の校歌の歌詞は4番まであり、それぞれ春夏秋冬を表現している。夏の埼玉大会5連覇中の同校にとっては夏を歌った2番が定番だが、春の出場は4年ぶり。今回は甲子園で披露できない1番を歌いきった。

 「開会式」は、選手たちに「甲子園を教えたかった」という岩井隆監督が提案した。社会科教諭であり指導者として何度も甲子園の土を踏んだ岩井監督は、甲子園を「選手を育て、とてつもないことが起こる場所」だと感じている。「経験することで節目になる。節目が選手たちを強くするんです」

 先日、抽選会も選手たちで行い、大会を実感させた。くじ引きの結果、昨夏の甲子園で初戦で敗れた明石商(兵庫)と偶然当たった。「それもまた甲子園」と岩井監督は笑う。

 「開会式」を終えた井上朋也主将は「甲子園の土を踏むことはできなかったが、貴重な経験をさせてもらった」。「これをひとつの区切りとして、夏に向けて励んでいきたい」と力強く話し、選手権大会6年連続出場へ向けて前を向いた。(宮脇稜平)