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 新型コロナウイルスの感染拡大について、政府の専門家会議(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)は19日、国内の状況や今後の対策のあり方の見解を公表した。感染の広がりについて「持ちこたえているが、一部の地域で拡大が見られる」と分析。大規模イベントの実施については、「感染拡大のリスクがあると言わざるをえない」として、リスクへの対応が整わない場合は中止や延期の必要があるとした。一斉休校などを要請した政府は、この見解を元に今後の対応を検討する。

 専門家会議は2月24日、「これから1、2週間が急速な拡大に進むか収束できるかの瀬戸際」と指摘。その後、換気の悪い密閉空間▽人が密集▽近距離で会話や発声する――という3条件が重なると、感染拡大のリスクを最も高めるとして、そうした場所を避けることを求めていた。

 新たな見解によると、急速に感染が広がった北海道では、知事の緊急事態の宣言後は新たな感染者の増加が一定程度抑えられたと判断。一方、ほかの都市部では感染者が増加している。

 重症化リスクの高い高齢者が利用する施設での集団感染も起きている。「クラスター」と呼ばれる患者集団が各地で確認されており、感染源が分からない事例も増えている。この状態が続けば、爆発的に患者が急増する「オーバーシュート」につながるおそれがあるとの懸念を示した。

 こうした状況を防ぐためには、クラスターを早期に見つけ、感染の可能性がある人を探し出す作業が必要になるため、専門家を支援する人材を確保するよう政府に提言している。

 イベント自粛などの対策の実施や解除するタイミングについては、全国一律ではなく、地域の感染状況をもとに判断する必要があるとした。感染が確認されていない地域では、学校の活動や屋外スポーツ、文化・芸術施設の利用は感染リスクを判断した上で、比較的低いものから実施するよう求めた。

 学校の一斉休校については、その効果について「確たることは言えない状況」だが、症状の軽い子どもが家庭内で高齢者などに感染させる可能性があるため、感染が拡大している地域では「一定期間、休校にすることも一つの選択肢」との見方を示した。

 大規模イベントなどの自粛も、その効果だけを測れる状況にないとしつつ、集団感染につながる恐れがあることから、「引き続き、主催者がリスクを判断し、慎重な対応が求められる」とした。

 副座長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は「この感染症は不明なところが多いが、最も重要なのは気がつかないうちに感染が広がり、爆発的に患者が急増するオーバーシュートが起き、医療供給体制に過剰な負担が起こること。そうした事態を回避するための提言をまとめた」と述べた。専門家会議は、2週間後をめどに新たな見解をまとめる方針だ。