テクノロジーの未来に絶望しかけた記者 差した一筋の光

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牛尾梓
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シンギュラリティーにっぽん

 1本の通りをはさんで、光と影が同時に見えた。

 昨年6月、米サンフランシスコ市を訪ねた。ツイッターや配車大手のウーバー・テクノロジーズといった名だたるIT企業の本社が並ぶエリアのすぐ横は、路上生活者が占拠し、失業者が昼間からたむろする。テンダーロイン地区は繁栄から取り残されていた。

シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。技術的特異点と訳される。そこから派生して、社会が加速度的な変化を遂げるときにもこの言葉が使われ始めている。

 IT企業に勤める高所得者が市内の不動産価格を高騰させ、8千人以上が住まいを追われた。取材で会った市議は危機感を隠さなかった。「路上生活者に、IT企業に勤めていた人は少なくない。誰しも明日のわが身だから」

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 人工知能(AI)に代表されるテクノロジーの進化は、人類を幸せにするのだろうか――。1年の取材を通して問い続けたことだ。希望よりも、持つ者が富を独占することに絶望しかけていたとき、あるベンチャー企業と出会った。

 「グローバル・モビリティ・サービス」(GMS、東京都港区)は、2013年に創業した。金融とITを融合したフィンテック分野を手がける。今年1月、サイドカーつきのバイクタクシー「トライシクル」の運転手102人を招き、フィリピン・マニラでパーティーを開いた。

 誇らしげな顔で壇上に並ぶ彼…

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