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 国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪の延期を検討すると発表したことを受け、各国の政府やオリンピック委員会からは支持する声が上がった。一方で、選手らからは判断に4週間をかけることへの批判も出ている。

 IOCの発表を踏まえ、オーストラリア・オリンピック委員会(AOC)は23日、選手らに「(北半球の)来年夏の開催に向け準備すべきだ」と指示したと発表した。選手団の代表を務めるイアン・チェスターマンAOC副会長は同日、「7月の開催が不可能なのは明らかだ」と述べた。

 フランスのマラシネアヌ・スポーツ相は22日、IOCの発表について、「必要な発表だった。今、急を要する事態は病院や介護施設など(五輪とは)別のところにある」とAFP通信に語った。「選手たちが完全な状態で五輪に参加できないようなリスクをIOCや日本政府がとるとは考えがたい」とも述べ、今夏の開催は不可能だとの見方を示した。

 中国外務省の耿爽副報道局長は23日の定例会見で、「日本が東京五輪を開催することを支持する立場に変わりはない。当然、IOCと日本側が協議のうえで下す決定も尊重する」と述べ、状況を静観する立場を表明した。

 選手団の派遣を見直す動きも出ている。

 カナダ・オリンピック委員会とパラリンピック委員会は22日、「苦渋の決断だが、コロナウイルスのリスクを考えて、2020年夏の大会には選手団を派遣しない」とする声明を発表した。カナダ政府も決定を支持しているという。IOCや世界保健機関(WHO)に開催を1年間延期するよう要請したうえで、「これは単にアスリートの健康の問題だけではなく、公衆衛生の問題だ」と訴えている。

 スペインメディアによると、スペイン五輪委員会のブランコ会長も、同国の外出禁止令が長引く恐れがあるとして「選手を万全な状態で東京五輪に送り込むことはできない。他の国も同じだろう」と18日に語り、延期を求めていた。

「判断に4週間」への批判も

 選手も悲痛な声を上げている。

 ドイツではフェンシング男子の東京五輪代表、マックス・ハルトゥング氏(30)がすでに出場辞退を表明。21日のテレビ番組に出演し、「この状況では練習が十分できない」とし、「今夏の五輪は無理だと思った」と語った。「苦渋の決断。全てをささげてきたのにとても悲しい」とも述べた。ハルトゥング氏は五輪選手らでつくる選手団体の代表も務めている。

 IOCが判断にさらに4週間かけることへの批判も出ている。

 ドイツ連邦議会のスポーツ委員会のフライターク委員長は23日、メディアの取材に「選手に対して無礼であり、世界が直面している状況に対して無責任だ」と批判。昨年の世界陸上の女子200メートルで優勝した英国のディナ・アシャースミス選手は、「(通常の練習ができない中で)さらに4週間、アスリートたちがよいトレーニング方法を見つけるという課題に直面するということ? 自分たちやコーチ、スタッフ、愛する人たちをリスクにさらしながら。結局延期されるだけなのに!!!」とツイートし、不満を示した。(シドニー=小暮哲夫、パリ=疋田多揚、北京=高田正幸、ベルリン=野島淳、ロンドン=下司佳代子)