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 夕方になると、その日の疲れがたまって子どもがぐずぐず…。家族でお出かけして帰宅が遅くなった時や、日中にたくさん遊ばせた時などに、そんな経験をしたことはありませんか。前回は、以下の二つの対処法をご紹介しました。

<その1>日中の計画を再検討する

<その2>1日の終わりに楽しい活動を企画する

 日中に予定を詰め込みすぎないようにするほか、将棋でも映画でも、そのお子さんが好きな物で、お布団の上でできそうなことをご褒美にして、入浴や歯磨きなどのルーチンをすませるのでしたね。

 ただこれは週末など時間のある日しか使えなさそうなので、今回は、平日の夕方のもう少し「普通」の日をどう乗り越えるかを考えていきます。

 ここで、ちょっとお尋ねです。

 お子さんの周辺が、ご褒美であふれてはいませんか?

 普段から意識高く子育てされているみなさまには該当しないと思うのですが、世の中には、日頃から子どもを「ご褒美で飽和」させているご家庭もあります。具体的には、「好きなときにゲームもテレビもネットもできる」とか、「何時まででも起きていていい」とか「何を食べても、何を買ってもいい」という感じです。

 子育ての正解はわかりませんし、私も育児や教育の専門家ではありませんが、認知行動療法の視点から子育てをどう進めるのが良いのかを、このコラムではつづっています。その観点からすると、生活のどこにもハングリーがない、つまり不足も規制もないというのは、「よし! あれがしたい!」とか「あれが欲しい!」というやる気が湧きづらいのではないかと懸念しています。

 一日中ぐうたらした日の夕方に飲むビールより、炎天下で汗をかいて仕事した夕方に飲むビールの方がおいしいのと同じです。

 こうした感覚を応用して、子どもがぐずぐずしがちな夕方を乗り切るための三つめのポイントをご紹介します。

<その3>ご褒美を生かすために、日頃の娯楽を制限する

楽しみはやるべきことの後に

 小学生くらいになると、子どもの娯楽と言えばネットやゲームでしょう。これらを例に考えてみます。

 子どものゲームについては、「時間を決める」「1時間まで」などと決まりを作るのはよく聞きます。これを少しだけ応用して、「やることやったあとで、1時間まで」とするのはいかがでしょう。

 親「やることをやり終えて、すっきりした気持ちでするゲームと、『あーあれやんなきゃなー、面倒だな。お母さん、うるさいだろうな』と気がかりになりながらするゲームとは、どちらが楽しいかな?」

 こんなふうに言いながら、やるべきことを先に済ませるクセと、自分でご褒美を用意して人生を楽しむ方法を子どもに教えられたら素晴らしいと思いませんか?

拡大する写真・図版イラスト・中島美鈴

 だらだらと時間を決めずにゲームをやるのと、夕方に楽しみな時間を取っておくのでは、子どもの心持ちもこんなふうに違ってくると思うのです。

すでにスマホざんまい、どうすれば?

 前回から続けて、子どもが不機嫌になりがちな夕方の対処法を書いてきましたが、ご褒美として例に挙げたスマホやゲームについては、もう少し考えていきたいと思います。

 最近は新型コロナウイルスで学校が休校になり、子どものスマホ利用やゲームというのは課題のひとつではないでしょうか。ネットは学習の機会を補償してくれるなど、素晴らしい文明の利器ですから、上手に付き合わせたいものですね。

 まだお子さんが小さくて、スマホもゲームもデビューしていないという親御さんの場合には、最初が肝心ですので、しっかり<その3>のポイントを実践しましょう。

 すでにゲームやネットざんまいになっている子どもには、まずは「ゲームやネット利用の現状」を客観的データで共有することです。iPhoneですと、スクリーンタイムといって1日平均何時間画面を見ているかが記録されています。こうしたデータを本人を含む家族で共有して、「お、思ってたより時間を費やしているんだな」と気づくことができるでしょう。その上で、本人と話し合う必要があります。

 次回は、この「すでにゲームやネットざんまい」の場合の対処について詳しくご紹介します。

上手に悩むとラクになる
中島美鈴さんの過去のコラムはこちら。

中島美鈴

中島美鈴(なかしま・みすず) 臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。