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 鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42)の遺体が見つかった「大崎事件」の再審請求に向け、映画監督の周防(すお)正行さん(63)が24日、弁護費用をネット上で募るクラウドファンディング(CF)を始めた。手弁当になりがちな再審請求を支え、制度への関心も集めたいという。

 30日に弁護団が行う第4次再審請求を支援するため、CFサイト「READYFOR(レディーフォー)」で寄付を呼びかけ、6月16日までに500万円を目標にする。弁護団の活動や経費にあてるのが目的で、目標額に達しなければ全額を返す。3千円から100万円の単位で集め、資金を提供した人には弁護活動の報告書が届く。

 都内で会見した周防さんは、痴漢冤罪(えんざい)がテーマの映画「それでもボクはやってない」の監督として知られ、大崎事件の支援もしてきた。最高裁が昨年6月に再審開始決定を取り消したことに触れ、「ショックだったが、弁護団の立ち直りが早かった。何とか協力したいと思った」。弁護士が報酬を得にくい裁判をCFで支える例が増えていることを知り、再審請求にも利用できると考えたという。

 周防さんは法制審議会の委員として刑事訴訟法改正の議論に関わり、再審開始の決め手になりやすい証拠開示の定めがないなど再審制度の不備も訴えてきた。「CFが再審の現実を知るきっかけにもなればいい」

 会見に同席した再審弁護団の鴨志田祐美弁護士は「殺人ではなく事故死だったことを示すための再現実験をやりたくても、資金がなく、弁護団の手出し(自腹)が多い。CFは冤罪で苦しむ多くの人を救うツールになりうる」と話した。

 CFサイトのアドレスはhttps://readyfor.jp/projects/osaki_Justice別ウインドウで開きます(阿部峻介)

大崎事件とは

 鹿児島県大崎町で1979年10月、農業の男性(当時42)の遺体が自宅横の牛小屋で見つかった。男性の兄2人と、長兄の妻だった原口アヤ子さん(92)がタオルで首を絞めて殺し、おいも加わって遺棄したとして逮捕された。原口さんは一貫して無実を訴えたが、懲役10年の刑が確定して服役した。第1次再審請求で鹿児島地裁は2002年、男性が自転車で溝に転落して事故死した可能性に触れ、再審開始を決定したが、その後、覆された。第3次請求では地裁が17年、福岡高裁宮崎支部も18年に再審開始を認める決定をしたが、19年6月に最高裁が覆した。