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 寒さの厳しい日、強い風が水面に吹きつけると波立った水が飛ばされ、周りにある木の枝や草の上などで凍りつく。飛沫(しぶき)氷と呼ばれる現象だ。

拡大する写真・図版焼石岳中腹の中沼のほとりにできた飛沫氷。枯れた花の黄色い色がそのまま閉じ込められていた=菅原壮さん撮影、日本自然保護協会提供

 岩手県の「自然公園保護管理員」を務める菅原壮(つよし)さん(78)は、地元にある焼石岳(1548メートル)の中腹にある中沼のほとりを訪れ、枯れかけた花を残す草に太く発達した飛沫氷を見つけたことがある。冬も含めて年間50日以上も焼石岳を歩く。そんな山のベテランも「細い茎の上に、こんな氷ができていたのには驚いた」と話す。一晩ではできず、何日もかかってこの太さまで発達したのだろうか。

拡大する写真・図版ブナの枯れ葉も凍りついていた=菅原壮さん撮影

 ここで飛沫氷が見られるのは沼全体が結氷しておらず、風が強く気温が零下10度くらいまで下がったとき。残念ながら暖冬となった今シーズンは、目にすることができなかった。グッと冷え込んだ朝、登山道を踏みしめて行った先で出会える氷の造形美だという。(米山正寛)

拡大する写真・図版最近の中沼。まだ結氷して雪に覆われていた=2020年3月24日、菅原壮さん撮影