戦中の極限期も残った演劇 存在問われ、強みも裏目に

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井上秀樹 藤谷浩二
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 戦中戦後の混乱期にもなんとか続いてきた演劇の灯が消えかけている。新型コロナウイルスの影響で、歌舞伎や演劇、ミュージカルなどの舞台芸術の中止が相次ぐ現状は、1918年のスペイン風邪や戦中以来の危機だと専門家は指摘する。政府の文化イベントの自粛要請と同調する世論のなかで、演劇界は公演中止と再開の間で揺れている。東京都小池百合子知事が「感染爆発の重大局面」と外出自粛を呼びかけ、先行きも見通せない。当時の演劇界はどんな様子だったのか。現代の演劇界は今後、どうなるのか。

空襲後も焼け残った仮小屋で寄席

 地震や台風といった自然災害昭和天皇の重体による歌舞音曲の自粛など、演劇の灯が消えかけた例はこれまでもある。

 最も危なかったのは第2次大戦中だ。1944年3月には、決戦非常措置によって歌舞伎座などの大劇場が閉鎖された。

 当時はどんな様子だったのか。

 決戦非常措置の1カ月後、演…

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