遺品から日記 逝った父の心の中、読むこと許されるのか
(悩みのるつぼ) 相談者
60代女性です。数年前に亡くなった父の日記のことでご相談します。できれば姜尚中さんにお願いしたいと思います。
父の遺品を整理していたところ、書棚の奥からひもで束ねた何冊もの大学ノートが出てきました。過去何年にもわたる父の日記でした。実家は処分するため、とりあえず我が家に運びましたが、どのように扱っていいのか思案中です。中は見ずに葬り去ったほうがいいのか、私が読んでもよいものなのか……。
父は、仕事ではそれなりの役職にも就き、成功したと言えるかもしれませんが、プライベートでは人に言えぬ苦労もしてきたことと思います。母と祖母(父の母)の折り合いが悪く、長年にわたり板挟みになっていましたし、父本人も女性関係でトラブルがありました。子どもである私自身もいろいろと苦労をかけました。
日記に書かれているであろう、そうした父の内面を私が読むことは許されるのだろうか。父はかつての日記をどのようにしてもらいたいと思っているのか。結論が出ず、日記はそのままになっています。
母を始め、他の家族は皆亡くなり、今は私一人が残っています。生き残った者は、逝った人の心の中にどのように触れることが許されるのか、心が表されたものをどのように取り扱うべきなのか、アドバイスいただければありがたく存じます。
回答者 政治学者・姜尚中さん
悩ましいですね。還暦を過ぎ、かつて家族だった人々はすべて亡くなり、ひとり残されたあなたにとって、一緒に過ごした家族との思い出は、今を生きる糧になっていると思います。
悲喜交々(こもごも)であっ…