[PR]

医の手帳・網膜静脈閉塞症(2)

 静脈閉塞(へいそく)が起きた直後には、血管強化薬などの内服薬を使うなどし、血管に血流を再開させます。完全に再疎通することはまれですが、閉塞が軽ければ血流障害の影響を少なくできます。

 黄斑浮腫で視力が低下すると、浮腫を取る治療をします。治療法は①薬物療法②レーザー治療③硝子体手術の三つです。最初にするのは薬物療法で、抗VEGF薬を硝子体に注射します。組織の血流が不足すると、新しい血管を作るのを促す血管内皮増殖因子(VEGF)が作られますが、血液成分を漏れやすくする作用があり、黄斑浮腫の原因になります。抗VEGF薬はその働きを抑え、注射すると浮腫はすぐになくなります。静脈閉塞症の黄斑浮腫に対しては2013年から保険適用となり、多くの施設で治療が受けられるようになりました。

 患者さんの負担は少ないですが、効果は数週間から数カ月で切れ、高頻度で再発します。再発を抑えるため、複数回投与が必要な方もいます。高価なのも難点です。ごくまれに緊急治療が必要な細菌感染が起きることもあります。また、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の患者さんには使えません。デメリットもありますが、抗VEGF薬の登場で、治療法が激変したことは明らかです。ただ、黄斑浮腫が消えても全ての方の視力が改善するわけではありません。既に視細胞層に強い障害が起きている場合は、視力は回復しません。抗VEGF薬による治療のほかに、レーザー治療や硝子体手術もありますが、最近では薬物療法に反応しない場合や、再発を繰り返す症例に使われる傾向があります。

 どの治療法も個人差が大きく試行錯誤ですが、以前より視力の予後は確実に向上しました。しかし、急性期を過ぎた後も気づかぬうちに網膜剝離(はくり)などの晩期合併症を患うリスクがあります。根気強く治療を受けると共に、定期的な通院と高血圧の管理が大切です。(新潟大学医歯学総合病院 寺島浩子助教)