拡大する写真・図版埼玉県内の繁殖業者のもとで産まれた子猫。元従業員によると、母猫の下痢にまみれたままの状態で経営者が放置し、この翌日死んだという(2018年、動物愛護団体提供)

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 2018年度に国内で繁殖・販売されていた犬猫のうち約2万6千匹が、繁殖業者やペットショップのもとにいるうちに死んでいたことが、朝日新聞の調査でわかった。流通量の約3%にあたり、この5年間で計12万匹以上にのぼる。ペットブームの一方で、業者の飼育環境の改善が急務であることが浮き彫りになった。

 繁殖業者やペットショップが自治体に提出を義務づけられている「犬猫等販売業者定期報告届出書」について、事務を所管する都道府県、政令指定都市、中核市に朝日新聞がアンケートを行った(回収率100%)。届出書の提出は13年9月に施行された改正動物愛護法で義務づけられ、朝日新聞では14年度分から、同様の調査を続けている。

 犬猫あわせた流通量は、前年度を約4万匹上回る、のべ89万6126匹。特にブームのさなかにある猫の流通量が急増しており、前年度比9・7%増の19万9569匹だった。4年連続の増加で、14年度(13万3554匹)と比べると4年で1・5倍になっている。犬の流通量は前年度比3%増の69万6557匹だった。

 一方、18年度は、繁殖から流通・小売りまでの過程で、2万6249匹の犬猫が死んでいた。前年度より1778匹増え、流通量に対する死亡数の割合を見ると、犬(1万9763匹)は2・8%、猫(6486匹)は3・2%となり、猫のほうが高かった。

 犬猫の死亡数は毎年度、増える流通量の3%程度で推移し、改善していない。届出書は、個体ごとにつけられる帳簿をもとに作成されており、死亡数には原則、死産や、繁殖用に使われ、寿命で死んだ犬猫は含まれない。このため、販売用の子犬や子猫、繁殖用の親犬や親猫が、ケガや病気、ストレスなどで死亡していると見られる。

拡大する写真・図版犬猫の流通量と死亡数

 日本動物福祉協会の調査員、町屋奈(ない)獣医師は猫について、ブームによって需要が高まっているのに加え、「人気の猫種」が出てきて、ペットショップで購入するという消費行動が浸透してきたのではないかと指摘。一方で「安易に猫の繁殖を始めた業者が、適正な環境で飼育できているのかどうか、危惧される」と話す。

 環境省では犬猫の繁殖・販売業者の飼育環境改善を目指し、検討会を設置して、具体的な数値を盛り込んだ基準作りを進めている。今春にも素案を示す予定で、新たな基準を盛り込んだ環境省令は来年6月に施行される。(矢田萌、専門記者・太田匡彦)