シンギュラリティーにっぽん
「GAFA(ガーファ)」。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの米巨大IT4社をまとめてこう呼ぶ。ほとんど日本でしか使われていない呼び名だ。
定着したきっかけの一つは、2018年7月に出版された「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(スコット・ギャロウェイ著)だ。4社の興隆とともにIT企業の危うさを描いて、15万部が売れた。ただ、原題に「GAFA」の文字はない。
シンギュラリティー:人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング。技術的特異点と訳される。そこから派生して、社会が加速度的な変化を遂げるときにもこの言葉が使われ始めている。
日本語版でつけ加えられたいかつい響き
「この本は、当時もてはやされていたIT企業を恐ろしいものとして描いた。そこで日本語版には、響きがいかついGAFAという呼び名を入れたんです」。日本語版の編集者で東洋経済新報社の桑原哲也(39)が明かす。
最先端のテクノロジー、ビッグデータを背景にした影響力、国家をもしのぐ豊富な資金力。それらは大量の個人データの収集、市場の支配力による競争の阻害、極端な節税策などと表裏一体でもある。GAFAの響きはそんなことを思い起こさせる。
一度手にした便利さは手放しにくく、私たちは裏の顔に疑念を持ちながらなお、GAFAのサービスを使い続けている。では、どうやってこの状態から抜け出せばいいのだろうか。
長文の利用規約に次々と同意を求められるだけではない、もっと別のやり方はないのだろうか。
挑戦を始めた人たちに会った。
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柔らかなオレンジ色の光が高…