[PR]

 「国民のみなさまの不安解消に少しでも資するよう速やかに取り組む」。新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、安倍晋三首相は2日の国会で、自らが打ち出した「布マスク2枚を全世帯に配布」作戦に意欲を見せた。ただ、野党からは「場当たり的」との批判が飛んだ。

 2日の衆院本会議は、感染拡大を受けた政府対策本部の設置と東京五輪・パラリンピックの延期をめぐり、首相から報告を受けた。立憲民主党の逢坂誠二氏は質問でマスク不足を取り上げ、「増産を支援すべきだ」と訴えた。

 感染防止のためマスク姿で登壇した首相は「生産設備への投資を支援するなどの取り組みを進めてきた」などと説明。その後、聞かれていなかった「布マスク全世帯配布」について語り始めた。

 「来月にかけて、さらに1億枚(の布マスク)を確保するめどが立ったことから…来週、1億枚ね」

 枚数を強調したうえで、「全国で5千万余りの世帯すべてを対象に2枚ずつ配布する。店頭でのマスクの品薄が続く現状を踏まえ、マスク需要の抑制を図る」とその目的を説明した。

 ただ、作戦に首相は胸を張るが、実効性や費用対効果をめぐり疑問の声も広がっている。本会議でも立憲の松平浩一氏からは痛烈に批判された。

 「ネットでは『アベノマスク』と言われています。まさに思い付きの場当たり的対応の極みです」

    ◇

 緊急事態宣言が出た場合の外出の自粛要請やイベント開催制限の要請・指示をめぐり、首相は罰則規定を設けることに慎重姿勢を示した。本会議での主なやりとりは以下の通り。

 【東京五輪延期】

 逢坂氏 再延期はないか。

 首相 来年夏、人類がウイルスに打ち勝った証しとして完全な形で東京大会を実施する方針。国際社会も支持している。

 【PCR検査】

 逢坂氏 必要な検査を意図的に抑制していないか。

 首相 医師が必要と判断したが、結果的に検査していない事例について、医師会を通じて確認している。

 【緊急事態宣言】

 自民・小倉将信氏 現在、発令の必要性はあるか。

 首相 現時点ではまだ全国的かつ急速な蔓延(まんえん)という状況には至っておらず、ぎりぎり持ちこたえている状況だ。

 逢坂氏 発令の前に国会に報告をすべきだ。

 首相 衆参両院の付帯決議では緊急でやむを得ない場合を除き、国会で事前に報告するとされている。

 公明・高木美智代氏 パニックを避けるため正確な発信を。

 首相 発令に至った背景など、私から直接、国民に説明する機会を設ける。

 維新・浦野靖人氏 外出自粛要請や、イベント開催制限の要請・指示には罰則がない。罰則付きの命令規定を設けて、強制力を持たせることが不可欠。特措法の再改正を進めるべきだ。

 首相 私権を制限するものであるため、この範囲を広げることや罰則による強制力を強くすることは慎重に検討することが必要だ。

 【学校の休校】

 逢坂氏 休校の長期化により学力に格差が出る。

 首相 1人1台のIT端末の整備の前倒しなどにより、教育分野の遠隔対応をこの機に一気に進めたい。

 【現金給付】

 高木氏 生活支援の柱として、1人10万円の現金給付をすべきだ。

 首相 御党の提案を踏まえ来週、緊急経済対策を取りまとめる。

 逢坂氏 全国民に1人10万円以上の現金給付を。

 首相 全国民に一律ではなく生活に困難を来す人に必要な支援をしたい。

 【医療提供態勢】

 高木氏 感染者の急増に対応する医療提供態勢は。

 首相 喫緊の課題だ。重症者への医療に重点を置く医療提供態勢の整備など必要な対策を実施する。

 逢坂氏 民間宿泊施設や、五輪選手村を医療的処置の場として活用しては。

 首相 一義的には各自治体の判断が優先される。国として積極的に支援する。

 【マスク不足】

 逢坂氏 マスクが十分に流通せず、感染の恐怖にさらされている。国内のマスク増産を支援すべきだ。

 首相 さらなる増産を支援する。また、再利用可能な布マスクを全戸に2枚ずつ配布する。店頭でのマスクの品薄が続く現状を踏まえ、国民の不安解消に資するよう速やかに取り組む。

 【コロナ対策財源】

 共産・塩川鉄也氏 5G減税やカジノ予算など不要不急の税財政措置を見直し、コロナ対策財源に。

 首相 我が国の経済を成長させるために不可欠で見直すことは考えていない。

    ◇

 第201回通常国会。国会や政党など政治の現場での様子を「政治ひとコマ」としてお届けします。

拡大する写真・図版衆院本会議で報告をする安倍晋三首相=2020年4月2日午後1時11分、岩下毅撮影

拡大する写真・図版衆院本会議で、立憲民主党の逢坂誠二氏(手前)の質問を聞く安倍晋三首相=2020年4月2日午後、岩下毅撮影