「内定を白紙に戻し、再選考する」――。東京オリンピック(五輪)の開催が1年延期になり、全日本柔道連盟はそんな選択肢を本格的に議論し始めた。陸上、卓球、ボクシングなど他の国内競技団体が「選手が勝ち取った権利は守る」として内定選手の「出場権」を保障する動きを見せている中、柔道だけが異質だ。
延期決定から2日後の3月26日、全柔連の金野潤強化委員長ら強化幹部は東京都内に集まった。「内定維持」派と「再選考」派から多数の意見が出て、約5時間の会議でも結論は出なかった。
柔道は全14階級中13階級で代表が内定しており、いずれも金メダルの有力候補だ。過酷な競争を勝ち抜いた内定選手にとって「白紙検討」はたまったものではないだろう。記者も“幻の代表”は生まれてほしくないと思う。ある強化担当者は「心情的にはこのまま行きたい」と明かす。
では、なぜ白紙の議論が出るのか。
男子73キロ級の橋本壮市や…